Leser-Trélat徴候を契機に発見された早期胃癌の1例

Leser-Trélat徴候(以下,L-T徴候)は,掻痒感を伴う脂漏性角化症が短期間のうちに急速に増加・増大した場合,内臓悪性腫瘍が存在する可能性があるというものである.多くは進行癌で発見され,本徴候の機序は明らかにされていない.今回,われわれはL-T徴候を契機に早期胃癌を発見し,手術後に皮疹の縮小と掻痒感の消失を認めた1例を経験した.患者は75歳の男性で,強い掻痒感を伴う急速に増加・増大する脂漏性角化症を認め,当院皮膚科を受診した.L-T徴候を疑い精査したところ,胃角部大彎側にIIc病変を認めたため当科で幽門側胃切除術を施行した.術後に掻痒感は消失し,脂漏性角化症は縮小した.本徴候を疑い精査...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 8; pp. 1901 - 1905
Main Authors 仕垣, 幸太郎, 長澤, 雄大, 古川, 義英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.1901

Cover

More Information
Summary:Leser-Trélat徴候(以下,L-T徴候)は,掻痒感を伴う脂漏性角化症が短期間のうちに急速に増加・増大した場合,内臓悪性腫瘍が存在する可能性があるというものである.多くは進行癌で発見され,本徴候の機序は明らかにされていない.今回,われわれはL-T徴候を契機に早期胃癌を発見し,手術後に皮疹の縮小と掻痒感の消失を認めた1例を経験した.患者は75歳の男性で,強い掻痒感を伴う急速に増加・増大する脂漏性角化症を認め,当院皮膚科を受診した.L-T徴候を疑い精査したところ,胃角部大彎側にIIc病変を認めたため当科で幽門側胃切除術を施行した.術後に掻痒感は消失し,脂漏性角化症は縮小した.本徴候を疑い精査することで,内臓悪性腫瘍を早期に発見,治療することができることもあると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.1901