多彩な組織型を示し急速に進行した上行結腸癌の1例

症例は81歳,男性.76歳時に直腸癌で手術,79歳時に肝細胞癌でTAEの既往があり,CT・MRIを定期的に行っていたが,2011年3月のMRIでは新病変の出現はなかった.同年5月に腹痛を主訴に当院を受診し,腸閉塞の診断で入院した.腹部CT検査で回盲部腫瘤による腸管拡張と多発肝転移・多発遠隔リンパ節転移を認め,腸閉塞の解除のために回盲部切除術を施行した.病理診断は,type3,8.0×6.0cm,se,n+,ly2,v3で低分化腺癌が主体で,粘液癌成分・印環細胞癌成分・肝様癌様成分・神経内分泌癌成分・ラブドイド腫瘍様の腫瘍成分を含む多彩な組織像が混在していた.術後19日目の腹部CT検査で,肝転移...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 7; pp. 1933 - 1937
Main Authors 須藤, 嘉子, 斎藤, 健一郎, 三井, 毅, 宗本, 義則, 高嶋, 吉浩, 鈴木, 勇人, 飯田, 善郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.1933

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Summary:症例は81歳,男性.76歳時に直腸癌で手術,79歳時に肝細胞癌でTAEの既往があり,CT・MRIを定期的に行っていたが,2011年3月のMRIでは新病変の出現はなかった.同年5月に腹痛を主訴に当院を受診し,腸閉塞の診断で入院した.腹部CT検査で回盲部腫瘤による腸管拡張と多発肝転移・多発遠隔リンパ節転移を認め,腸閉塞の解除のために回盲部切除術を施行した.病理診断は,type3,8.0×6.0cm,se,n+,ly2,v3で低分化腺癌が主体で,粘液癌成分・印環細胞癌成分・肝様癌様成分・神経内分泌癌成分・ラブドイド腫瘍様の腫瘍成分を含む多彩な組織像が混在していた.術後19日目の腹部CT検査で,肝転移・リンパ節転移の著明な増大を認め,mFOLFOX6を開始したが,全身状態が急速に悪化し,術後第27病日に死亡した.多彩な組織像を呈し,急速な転機をとった興味深い症例であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.1933