補助人工心臓による両室補助からの Bridge to Bridge として HeartMate II 植込みを施行した拡張型心筋症の1例
重症心不全のなかでも循環不全による臓器障害を伴う最重症症例では,補助人工心臓を用いた機械的な両室補助を要することがある.今回,拡張型心筋症を基礎疾患とするcrash and burn(INTERMACS Profile 1)の重症心不全症例に機械的両室補助を行い,臓器障害が改善した146日後に一期的に植込み型補助人工心臓装着へ移行ができた症例を経験したので報告する.症例は27歳男性で来院数日前から進行する呼吸困難を主訴に近医を受診した.著明な左室収縮力低下と左室内血栓に加え,肝障害,腎障害も進行していたため,当院へ紹介搬送となった.転院同日に緊急手術を行い,左室内血栓除去ののちに両室補助を装着...
Saved in:
Published in | 日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 45; no. 6; pp. 267 - 271 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
2016
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0285-1474 1883-4108 |
DOI | 10.4326/jjcvs.45.267 |
Cover
Summary: | 重症心不全のなかでも循環不全による臓器障害を伴う最重症症例では,補助人工心臓を用いた機械的な両室補助を要することがある.今回,拡張型心筋症を基礎疾患とするcrash and burn(INTERMACS Profile 1)の重症心不全症例に機械的両室補助を行い,臓器障害が改善した146日後に一期的に植込み型補助人工心臓装着へ移行ができた症例を経験したので報告する.症例は27歳男性で来院数日前から進行する呼吸困難を主訴に近医を受診した.著明な左室収縮力低下と左室内血栓に加え,肝障害,腎障害も進行していたため,当院へ紹介搬送となった.転院同日に緊急手術を行い,左室内血栓除去ののちに両室補助を装着した.肝障害はすみやかに改善したものの無尿の状態が続いたため,臓器障害がすべて改善するまでは両室補助を継続する方針とした.十分な尿量が得られ腎機能が正常に戻った後の術後140日目に移植申請が承認され,術後146日目に右室補助を離脱し,左室は植込み型補助人工心臓HeartMate IIへと切り替えた.その後も右心不全の再燃は認めず,植込み手術から78日目に独歩退院し,自宅にて移植待機中である.臓器障害を伴う最重症例であっても,早期の両室補助の導入と臓器障害改善後の植込み型左室補助人工心臓への移行により,移植待機が可能となる. |
---|---|
ISSN: | 0285-1474 1883-4108 |
DOI: | 10.4326/jjcvs.45.267 |