ダビガトラン投与下に巨大左房内遊離血栓を認めた1例

症例は77歳の女性.60歳代より非弁膜症性心房細動(non valvular atrial fibrillation ; NVAF)に対してワルファリンで抗凝固療法を施行されていた.1年半前に心原性脳塞栓症を発症しダビガトラン300 mg/日の内服を開始した.しかし,3カ月前に脳塞栓症を発症した.退院後のMRIにてさらに新規の脳塞栓症発症を認めた.超音波検査および造影CTを施行し,左房内に37×29 mm大の遊離した血栓を認めたため,緊急手術を施行した.左房内の血栓摘出術および左心耳閉鎖術を行った.術後はワルファリンによる抗凝固療法を行い,再発なく経過している.ダビガトラン内服中にもかかわらず...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 49; no. 4; pp. 205 - 209
Main Authors 山中, 一朗, 仁科, 健, 上田, 裕一, 佐藤, 俊, 矢田, 匡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.07.2020
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.49.205

Cover

More Information
Summary:症例は77歳の女性.60歳代より非弁膜症性心房細動(non valvular atrial fibrillation ; NVAF)に対してワルファリンで抗凝固療法を施行されていた.1年半前に心原性脳塞栓症を発症しダビガトラン300 mg/日の内服を開始した.しかし,3カ月前に脳塞栓症を発症した.退院後のMRIにてさらに新規の脳塞栓症発症を認めた.超音波検査および造影CTを施行し,左房内に37×29 mm大の遊離した血栓を認めたため,緊急手術を施行した.左房内の血栓摘出術および左心耳閉鎖術を行った.術後はワルファリンによる抗凝固療法を行い,再発なく経過している.ダビガトラン内服中にもかかわらず左房内巨大血栓による多発塞栓症を発症した1例を経験したので報告する.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.49.205