河川水誤嚥による劇症型Aeromonas hydrophila肺炎の一救命例

症例は80歳の女性。畑作業中に土手から3m下の川に転落し,呼吸苦と左胸痛を訴え救急搬入された。来院時,左気胸と肺挫傷による低酸素血症を認め,胸腔ドレナージの後に人工呼吸管理とした。誤嚥による呼吸器感染症が懸念されたため,抗菌薬はsulbactam/ampicillin(SBT/ABPC)を投与した。第3病日に急激に肺炎が重症化し,DICおよび敗血症性ショックに陥った。同日,喀痰からグラム陰性桿菌が検出され,Aeromonas属が最も疑われるとの報告を細菌検査室より受けた。抗菌薬をmeropenem(MEPM)およびciprofloxacin(CPFX)に変更し,第5病日にはショックから離脱する...

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Published in日本救急医学会雑誌 Vol. 25; no. 9; pp. 717 - 722
Main Authors 本田, 真広, 岡村, 宏, 前川, 剛志, 井上, 健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本救急医学会 2014
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ISSN0915-924X
1883-3772
DOI10.3893/jjaam.25.717

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Summary:症例は80歳の女性。畑作業中に土手から3m下の川に転落し,呼吸苦と左胸痛を訴え救急搬入された。来院時,左気胸と肺挫傷による低酸素血症を認め,胸腔ドレナージの後に人工呼吸管理とした。誤嚥による呼吸器感染症が懸念されたため,抗菌薬はsulbactam/ampicillin(SBT/ABPC)を投与した。第3病日に急激に肺炎が重症化し,DICおよび敗血症性ショックに陥った。同日,喀痰からグラム陰性桿菌が検出され,Aeromonas属が最も疑われるとの報告を細菌検査室より受けた。抗菌薬をmeropenem(MEPM)およびciprofloxacin(CPFX)に変更し,第5病日にはショックから離脱することができた。覚醒後の詳細な問診の結果,崖下の川に顔をつけ河川水を誤嚥していたことが判明し,第5病日の喀痰培養でAeromonas hydrophila 3+(Geckler 5)が確定した。人工呼吸器からの離脱に難渋したが,第23病日に抜管し,第63病日に転科となった。河川水誤嚥による劇症型肺炎の際にはAeromonas属感染の発症も念頭に置き,fluoroquinoloneおよびcarbapenemの投与を検討すべきである。
ISSN:0915-924X
1883-3772
DOI:10.3893/jjaam.25.717