腹痛を契機に発見された未破裂空腸粘膜下動脈瘤の1例
症例は79歳,女性.突然の腹痛,食残様嘔吐にて当院へ救急搬送となった.来院時血液検査では貧血や炎症反応の上昇は認めなかった.腹部造影CT検査では小腸内に境界明瞭腫瘤を認め,内部に造影剤流出に伴う高吸収な液面形成が疑われた.また,小腸の壁肥厚,周囲脂肪識濃度上昇を認めた.入院翌日の血液検査では貧血,炎症反応の上昇が認められたが,血管造影検査では明らかな動脈瘤は指摘できなかった.再検した腹部ダイナミックCT検査では均一に造影される2cm大の小腸内腫瘤を認め,動脈瘤の可能性も否定できず緊急手術の方針となった.手術は腹腔鏡補助下に施行.上部空腸に腫瘤が触知され,小腸部分切除を行った.病理検査の結果,粘...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 7; pp. 1320 - 1325 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2019
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.80.1320 |
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Summary: | 症例は79歳,女性.突然の腹痛,食残様嘔吐にて当院へ救急搬送となった.来院時血液検査では貧血や炎症反応の上昇は認めなかった.腹部造影CT検査では小腸内に境界明瞭腫瘤を認め,内部に造影剤流出に伴う高吸収な液面形成が疑われた.また,小腸の壁肥厚,周囲脂肪識濃度上昇を認めた.入院翌日の血液検査では貧血,炎症反応の上昇が認められたが,血管造影検査では明らかな動脈瘤は指摘できなかった.再検した腹部ダイナミックCT検査では均一に造影される2cm大の小腸内腫瘤を認め,動脈瘤の可能性も否定できず緊急手術の方針となった.手術は腹腔鏡補助下に施行.上部空腸に腫瘤が触知され,小腸部分切除を行った.病理検査の結果,粘膜下動脈瘤の診断となった.小腸の粘膜下動脈瘤は稀な疾患であり,未破裂の状態で発見された報告例は少ない.今回,腹腔鏡補助下に切除した未破裂小腸粘膜下動脈瘤の1例を経験したので,報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.80.1320 |