89歳で初発し,5回の治療反復により10年生存した肝細胞癌患者の一例

本邦の高齢化は明らかであり,高齢者における肝細胞癌に対する治療機会は増加している.今回,我々は89歳で肝細胞癌を初発し,5回の治療反復により,10年間の経過観察し得た象徴的な症例を経験した.2007年(89歳時)に肝S4に対してラジオ波熱凝固(RFA)を施行した.2010年(93歳時)にS1を肝動脈化学塞栓術(TACE),2011年(94歳時)にS3をRFA,2014年(97歳時)にS6をTACE施行した.99歳の今回は,PIVKA-IIの再上昇を認め,造影CTでS3,S6にそれぞれ長径13,15 mm大の肝細胞癌を認めた.TACEを行い,過去の治療部の再発所見は認めなかった.今回も順調に退院...

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Published in肝臓 Vol. 58; no. 4; pp. 228 - 232
Main Authors 友清, せらみ, 宗盛, 倫子, 難波, 知世, 北本, 幹也, 佐伯, 翔, 花田, 麻衣子, 大谷, 里奈, 森原, 正雄, 田村, 彰久, 黒瀬, 太一, 山田, 博康
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2017
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.58.228

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Summary:本邦の高齢化は明らかであり,高齢者における肝細胞癌に対する治療機会は増加している.今回,我々は89歳で肝細胞癌を初発し,5回の治療反復により,10年間の経過観察し得た象徴的な症例を経験した.2007年(89歳時)に肝S4に対してラジオ波熱凝固(RFA)を施行した.2010年(93歳時)にS1を肝動脈化学塞栓術(TACE),2011年(94歳時)にS3をRFA,2014年(97歳時)にS6をTACE施行した.99歳の今回は,PIVKA-IIの再上昇を認め,造影CTでS3,S6にそれぞれ長径13,15 mm大の肝細胞癌を認めた.TACEを行い,過去の治療部の再発所見は認めなかった.今回も順調に退院できた.長期にわたって経過良好であった要因として,肝予備能が良好であったこと,根治治療を反復できたこと,99歳という高齢ながらもPS1と良好で治療意欲が高く認知機能も良好であったこと,などが考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.58.228