全身性炎症反応症候群を呈した腸間膜原発anaplastic large cell lymphomaの1例

66歳の女性で,腹部膨満感の精査にて,10cm大の腹腔内腫瘍を認め入院となった.入院時から炎症反応の亢進を認め,発熱・頻脈・白血球数から全身性炎症反応症候群と診断した.血小板数の低下,FDPの上昇を認め,腸間膜腫瘍の診断で緊急手術を施行した.空腸起始部の腸間膜に腫瘤を認め,近接する空腸を巻き込んでいた.腸間膜腫瘍切除,小腸合併切除術を施行した.病理組織検査にて,anaplastic lymphoma kinase(以下ALK)陰性anaplastic large cell lymphoma(以下ALCL)と診断した.術後速やかに解熱し,全身状態の改善が得られた.その後再発を認めたが,化学療法を...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 7; pp. 1715 - 1718
Main Authors 松山, 貴俊, 吉村, 哲規, 柿本, 應貴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.1715

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Summary:66歳の女性で,腹部膨満感の精査にて,10cm大の腹腔内腫瘍を認め入院となった.入院時から炎症反応の亢進を認め,発熱・頻脈・白血球数から全身性炎症反応症候群と診断した.血小板数の低下,FDPの上昇を認め,腸間膜腫瘍の診断で緊急手術を施行した.空腸起始部の腸間膜に腫瘤を認め,近接する空腸を巻き込んでいた.腸間膜腫瘍切除,小腸合併切除術を施行した.病理組織検査にて,anaplastic lymphoma kinase(以下ALK)陰性anaplastic large cell lymphoma(以下ALCL)と診断した.術後速やかに解熱し,全身状態の改善が得られた.その後再発を認めたが,化学療法を施行し術後4年8カ月の現在までCRを維持している.ALK陰性ALCLは,腸間膜原発例は稀で,化学療法の効果が乏しい疾患である.本症例では長期CRを維持しているが,症例の蓄積が必要と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.1715