頭頸部外傷後の咽頭後間隙血腫により上気道狭窄を来した2例

外傷性咽頭後間隙血腫によって上気道狭窄を呈した2例を経験した。症例1:55歳の男性。高血圧の既往があった。バイクと軽自動車の接触事故にて当院に救急搬送された。頭頸部打撲と左大腿骨頸部骨折を認めたが,意識や呼吸循環動態は安定していた。受傷2時間後に意識清明な状態で上気道狭窄音が出現したため,気管挿管を実施しようとしたが困難であったため,輪状甲状靭帯切開にて緊急気道確保を行った。頸部CTで咽頭後間隙血腫を認めた。保存的加療により血腫は消退したため,第13病日に抜管し,第23病日に近医へ転院した。症例2:56歳の男性。冠動脈バイパス手術後で抗血小板薬常用中であった。バイク運転走行中の単独転倒事故で当...

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Published in日本救急医学会雑誌 Vol. 25; no. 3; pp. 119 - 124
Main Authors 加藤, 正哉, 田中, 真生, 米満, 尚史, 岩崎, 安博, 木田, 真紀, 川副, 友, 宮本, 恭平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本救急医学会 2014
Subjects
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ISSN0915-924X
1883-3772
DOI10.3893/jjaam.25.119

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Summary:外傷性咽頭後間隙血腫によって上気道狭窄を呈した2例を経験した。症例1:55歳の男性。高血圧の既往があった。バイクと軽自動車の接触事故にて当院に救急搬送された。頭頸部打撲と左大腿骨頸部骨折を認めたが,意識や呼吸循環動態は安定していた。受傷2時間後に意識清明な状態で上気道狭窄音が出現したため,気管挿管を実施しようとしたが困難であったため,輪状甲状靭帯切開にて緊急気道確保を行った。頸部CTで咽頭後間隙血腫を認めた。保存的加療により血腫は消退したため,第13病日に抜管し,第23病日に近医へ転院した。症例2:56歳の男性。冠動脈バイパス手術後で抗血小板薬常用中であった。バイク運転走行中の単独転倒事故で当院に救急搬送された。救急隊接触時は意識清明で呼吸・循環は安定していたが,受傷40分後に意識レベル低下,上気道狭窄音が出現した。経口気管挿管を行い,意識レベルは速やかに回復した。頭部CTで外傷性頭蓋内血腫を認めず,頸部CTにて咽頭後間隙血腫を認めた。保存的加療により血腫消退後,第6病日に抜管し,第26病日に近医へ転院となった。頭頸部外傷では咽頭後間隙血腫によって致命的な上気道閉塞を来す可能性があり,初診時画像検索も含む注意深い経過観察が必要であると考えられた。
ISSN:0915-924X
1883-3772
DOI:10.3893/jjaam.25.119