腹腔鏡下切除を行った側方リンパ節領域神経鞘腫の1例

症例は77歳,男性.血尿を主訴に平成24年12月,当院泌尿器科を受診し,腹部CTで骨盤内左側,内腸骨静脈の背側に境界明瞭な4cm大の腫瘤を指摘された.腹部造影MRI検査では,T1強調画像で低信号,T2強調画像で辺縁と内部で信号強度の異なる高信号を呈していた.また,左S1の神経との連続を疑う所見を認めた.以上の所見より神経鞘腫を疑い,平成25年4月に,腹腔鏡下腫瘍摘出手術を施行した.病理検査の結果,良性神経鞘腫と診断した.術後,左下肢に軽度の痺れと痛みを訴えたが,消炎鎮痛剤投与で改善を認めた.術後9カ月が経過した現在,合併症・再発なく経過している.神経鞘腫の中でも骨盤内後腹膜,側方リンパ節領域に...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 7; pp. 2051 - 2056
Main Authors 永末, 裕友, 横溝, 博, 林, 亨治, 平田, 稔彦, 田中, 栄治, 中嶌, 雅之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.2051

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Summary:症例は77歳,男性.血尿を主訴に平成24年12月,当院泌尿器科を受診し,腹部CTで骨盤内左側,内腸骨静脈の背側に境界明瞭な4cm大の腫瘤を指摘された.腹部造影MRI検査では,T1強調画像で低信号,T2強調画像で辺縁と内部で信号強度の異なる高信号を呈していた.また,左S1の神経との連続を疑う所見を認めた.以上の所見より神経鞘腫を疑い,平成25年4月に,腹腔鏡下腫瘍摘出手術を施行した.病理検査の結果,良性神経鞘腫と診断した.術後,左下肢に軽度の痺れと痛みを訴えたが,消炎鎮痛剤投与で改善を認めた.術後9カ月が経過した現在,合併症・再発なく経過している.神経鞘腫の中でも骨盤内後腹膜,側方リンパ節領域に発生するものはまれである.今回,われわれは側方リンパ節領域に発生した神経鞘腫を腹腔鏡下に安全に切除することができたので,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.2051