成人Meckel憩室茎捻転の1例

症例は77歳,女性.腹痛を主訴に近医を受診し,保存的加療で経過観察されていたが,受診翌日に症状が増悪し,当院を紹介された.臍周囲に圧痛を認め,臍下部に反跳痛を伴う腫瘤を触知した.血液検査では炎症所見上昇を認め,腹部造影CT検査および腹部超音波検査では臍下部に嚢胞性病変を認めるも,明らかな腸管虚血や穿孔を示唆する所見は認めなかった.保存的加療で経過観察し腹痛は軽快したが,発熱と炎症所見の遷延を認めたため,入院7日目に腹腔鏡下試験開腹術を施行した.回腸末端より口側60cmの回腸に頸部で捻転・壊死したMeckel憩室が周囲小腸に被覆され,内部で膿瘍を形成している所見を認めた.開腹手術に移行して捻転を...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 7; pp. 1315 - 1319
Main Authors 坂本, 快郎, 中島, 明彦, 山名, 一平, 佐藤, 啓介, 岡本, 辰哉, 乗富, 智明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.80.1315

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Summary:症例は77歳,女性.腹痛を主訴に近医を受診し,保存的加療で経過観察されていたが,受診翌日に症状が増悪し,当院を紹介された.臍周囲に圧痛を認め,臍下部に反跳痛を伴う腫瘤を触知した.血液検査では炎症所見上昇を認め,腹部造影CT検査および腹部超音波検査では臍下部に嚢胞性病変を認めるも,明らかな腸管虚血や穿孔を示唆する所見は認めなかった.保存的加療で経過観察し腹痛は軽快したが,発熱と炎症所見の遷延を認めたため,入院7日目に腹腔鏡下試験開腹術を施行した.回腸末端より口側60cmの回腸に頸部で捻転・壊死したMeckel憩室が周囲小腸に被覆され,内部で膿瘍を形成している所見を認めた.開腹手術に移行して捻転を解除後,Meckel憩室を楔状切除にて摘出した.高齢者のMeckel憩室茎捻転は比較的稀な合併症であり,若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.1315