尿膜管由来と思われた境界悪性粘液性嚢胞腺腫の1例

症例は75歳,男性.PSA高値を認め,前立腺癌の疑いで当院泌尿器科に紹介受診となり,膀胱前上方に接する嚢胞性腫瘤が認められたため手術目的で外科紹介となった.術前精査の結果,転移性腫瘍の可能性は低かった.また,腫瘤の良悪性の診断がつかなかったため,確定診断の目的で摘出手術を施行した.腹膜前腔内で膀胱頂部に接する6cm大の腫瘤を認めた.腫瘤の腹腔内への露出はなかった.膀胱とは剥離困難であったため,膀胱壁の一部を合併切除した.摘出標本の病理像では,境界悪性粘液性嚢胞腺腫の特徴を有していた.術中,尿膜管を確認できなかったため,尿膜管由来と断定はできなかったが,画像所見・腫瘍存在部位・病理所見を総合して...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 5; pp. 1418 - 1422
Main Authors 矢口, 貴一郎, 五明, 良仁, 斉藤, 拓康, 池野, 龍雄, 坂口, 博美, 宮本, 英雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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Summary:症例は75歳,男性.PSA高値を認め,前立腺癌の疑いで当院泌尿器科に紹介受診となり,膀胱前上方に接する嚢胞性腫瘤が認められたため手術目的で外科紹介となった.術前精査の結果,転移性腫瘍の可能性は低かった.また,腫瘤の良悪性の診断がつかなかったため,確定診断の目的で摘出手術を施行した.腹膜前腔内で膀胱頂部に接する6cm大の腫瘤を認めた.腫瘤の腹腔内への露出はなかった.膀胱とは剥離困難であったため,膀胱壁の一部を合併切除した.摘出標本の病理像では,境界悪性粘液性嚢胞腺腫の特徴を有していた.術中,尿膜管を確認できなかったため,尿膜管由来と断定はできなかったが,画像所見・腫瘍存在部位・病理所見を総合して,尿膜管由来の境界悪性粘液性嚢胞腺腫と診断した.本疾患は,非常に稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.1418