オクトレオチドが有効であった甲状腺癌術後乳糜漏の1例

症例は72歳,男性.主訴は頸部腫脹,嚥下時違和感.7年前から頸部腫脹を自覚,2012年9月上旬より嚥下時の違和感が出現したため,当院受診した.CT・エコーで甲状腺右葉癌の診断で甲状腺右葉切除術を施行した.術後第1病日から経口摂取開始,術後第3病日よりドレーンから乳糜の流出を認めた.頸部腫脹・呼吸困難など認めず,絶食・完全静脈栄養にて経過観察していたが,乳糜の流出は改善せず,術後第7病日からオクトレオチドの皮下投与を開始した.投与3日目より乳糜の流出は減少し,計7日間の投与で中止した.その後,術後第19病日から経口摂取再開,乳糜漏の出現なく退院となった.術後乳糜漏の治療は難渋することがあるが,今...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 7; pp. 1799 - 1802
Main Authors 青木, 大, 福元, 俊孝, 三枝, 伸二, 宮薗, 太志, 夏越, 祥次, 大久保, 啓史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.1799

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Summary:症例は72歳,男性.主訴は頸部腫脹,嚥下時違和感.7年前から頸部腫脹を自覚,2012年9月上旬より嚥下時の違和感が出現したため,当院受診した.CT・エコーで甲状腺右葉癌の診断で甲状腺右葉切除術を施行した.術後第1病日から経口摂取開始,術後第3病日よりドレーンから乳糜の流出を認めた.頸部腫脹・呼吸困難など認めず,絶食・完全静脈栄養にて経過観察していたが,乳糜の流出は改善せず,術後第7病日からオクトレオチドの皮下投与を開始した.投与3日目より乳糜の流出は減少し,計7日間の投与で中止した.その後,術後第19病日から経口摂取再開,乳糜漏の出現なく退院となった.術後乳糜漏の治療は難渋することがあるが,今回オクトレオチドが著効した1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.1799