S状結腸腹膜垂による腸閉塞の1例

S状結腸腹膜垂が原因となり腸閉塞を発症したまれな1例を経験したので報告する.症例は41歳男性で,特記すべき既往歴や開腹歴はない.急性発症の腹痛,嘔吐を主訴に来院した.左下腹部に圧痛と反跳痛あり,腹部CTにて小腸の拡張とclosed loopを認めたため,絞扼性イレウスと診断し,緊急開腹手術を施行した.術中所見では長いS状結腸腹膜垂が後腹膜に癒着してヘルニア門を形成し,そこに小腸が30cmにわたり嵌頓していた.腹膜垂を切離し,嵌頓を解除した.腸管に壊死所見を認めなかったため小腸切除は施行しなかった.このような腹膜垂が原因となった腸閉塞例はまれではあるが,開腹歴のない原因不明の腸閉塞の原因のひとつ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 5; pp. 1317 - 1320
Main Authors 菅原, 宏文, 福岡, 健吾, 成田, 知宏, 大里, 雅之, 水野, 豊, 岡本, 道孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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Summary:S状結腸腹膜垂が原因となり腸閉塞を発症したまれな1例を経験したので報告する.症例は41歳男性で,特記すべき既往歴や開腹歴はない.急性発症の腹痛,嘔吐を主訴に来院した.左下腹部に圧痛と反跳痛あり,腹部CTにて小腸の拡張とclosed loopを認めたため,絞扼性イレウスと診断し,緊急開腹手術を施行した.術中所見では長いS状結腸腹膜垂が後腹膜に癒着してヘルニア門を形成し,そこに小腸が30cmにわたり嵌頓していた.腹膜垂を切離し,嵌頓を解除した.腸管に壊死所見を認めなかったため小腸切除は施行しなかった.このような腹膜垂が原因となった腸閉塞例はまれではあるが,開腹歴のない原因不明の腸閉塞の原因のひとつとして,本疾患も念頭に置く必要があると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.1317