肺合併切除を行った下部食道憩室内に発生した食道癌の1例

症例は55歳の女性.食道憩室の既往があり,繰り返す肺炎にて当院紹介受診となった.造影CTにて,憩室壁に造影効果を認める不整な肥厚像を認め,左心房,右下肺静脈への浸潤も疑った.上部消化管内視鏡検査にて,憩室内に3型腫瘍を認め,肺への瘻孔を形成していた.生検にて扁平上皮癌と診断し,術前化学療法(FP療法2クール)施行後,手術を行った.右開胸および開腹にて胸腹部食道胃上部切除,胃管による胸骨後経路再建を行った.また,右下肺静脈に浸潤を認め,右肺下葉合併切除を行った.下行大動脈との剥離面は,術中迅速病理診断では,癌陰性であったが,最終病理診断では,癌陽性であった.術後,下行大動脈との剥離面を中心に放射...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 8; pp. 2171 - 2176
Main Authors 永井, 聡, 大野, 貴志, 渡部, 裕志, 栗栖, 泰郎, 谷口, 雄司, 中村, 廣繁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.2171

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Summary:症例は55歳の女性.食道憩室の既往があり,繰り返す肺炎にて当院紹介受診となった.造影CTにて,憩室壁に造影効果を認める不整な肥厚像を認め,左心房,右下肺静脈への浸潤も疑った.上部消化管内視鏡検査にて,憩室内に3型腫瘍を認め,肺への瘻孔を形成していた.生検にて扁平上皮癌と診断し,術前化学療法(FP療法2クール)施行後,手術を行った.右開胸および開腹にて胸腹部食道胃上部切除,胃管による胸骨後経路再建を行った.また,右下肺静脈に浸潤を認め,右肺下葉合併切除を行った.下行大動脈との剥離面は,術中迅速病理診断では,癌陰性であったが,最終病理診断では,癌陽性であった.術後,下行大動脈との剥離面を中心に放射線療法を行った.食道憩室内癌は稀であり,また,周囲組織に浸潤しやすい.右下肺静脈に浸潤する下部食道憩室内癌に対して肺合併切除を行ったので,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.2171