地域住民を対象としたアレルギー性鼻炎疫学調査―通年性抗原感作がスギ花粉症の感作・発症に及ぼす影響

本邦においては,スギ花粉症がもっとも頻度の高いアレルギー性疾患として知られている。一方で,小児期における主要な吸入性抗原は室内塵・ハウスダスト(HD)であるため,成長に伴いHD感作がどのようにスギ花粉症に影響を与えるかを検討するのは興味深いことである。そこで,2014年に岩木健康増進プロジェクト健診に参加した1138名(男性432名,女性706名)を対象として,主要な吸入性抗原であるHD1,スギ花粉,イネ科マルチ,および雑草マルチの特異的IgEを測定し各々の抗原に対する感作率を検討した。アレルギー性鼻炎の症状に関するアンケート調査も実施し,HD1のCAPスコアから未感作群,低抗体価群,高抗体価...

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Published in日本鼻科学会会誌 Vol. 56; no. 4; pp. 632 - 638
Main Authors 原, 隆太郎, 松原, 篤, 高畑, 淳子, 後藤, 真一, 佐々木, 亮, 高橋, 一平, 中路, 重之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本鼻科学会 2017
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Summary:本邦においては,スギ花粉症がもっとも頻度の高いアレルギー性疾患として知られている。一方で,小児期における主要な吸入性抗原は室内塵・ハウスダスト(HD)であるため,成長に伴いHD感作がどのようにスギ花粉症に影響を与えるかを検討するのは興味深いことである。そこで,2014年に岩木健康増進プロジェクト健診に参加した1138名(男性432名,女性706名)を対象として,主要な吸入性抗原であるHD1,スギ花粉,イネ科マルチ,および雑草マルチの特異的IgEを測定し各々の抗原に対する感作率を検討した。アレルギー性鼻炎の症状に関するアンケート調査も実施し,HD1のCAPスコアから未感作群,低抗体価群,高抗体価群の三群に分けて,各々のスギ花粉の感作率や発症率について比較検討した。その結果,すべての年代でスギ花粉の感作率がもっとも高値を示した。また,スギ花粉感作率はHD1高抗体価群で他の二群に比し有意に高値を示したが,スギ花粉症発症率はHD1未感作群が最も高率であり,HD1感作はスギ花粉の感作には促進的に作用するが,発症に関しては異なることが示唆された。
ISSN:0910-9153
1883-7077
DOI:10.7248/jjrhi.56.632