右季肋部痛を契機に診断された径15cmの肝限局性結節性過形成の1例

症例は19歳,男性.右季肋部痛と膨隆を主訴に前医を受診,肝右葉に巨大腫瘤を認め当院紹介受診となった.検査所見,腫瘍マーカーは正常範囲内であった.病変は肝右葉に造影CTで早期濃染を示し,中心に低吸収領域を伴う境界明瞭な径約15cm大の巨大腫瘍として描出された.また,EOB-MRIの肝細胞相で病変部に取り込みを認めた.以上より第一に限局性結節性過形成(以下FNH)を疑った.本症は若年であること巨大腫瘍で症状を伴うことから手術を施行した.切除標本は中心部に放射状の瘢痕形成を伴う淡褐色調の腫瘍で,組織学的にはほぼ背景肝と同様の肝細胞からなり,異常血管が多く見られ結節周囲部に細胆管が増生する部分がありF...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 6; pp. 1666 - 1670
Main Authors 松永, 浩子, 有井, 滋樹, 中村, 典明, 入江, 工, 田中, 真二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.1666

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Summary:症例は19歳,男性.右季肋部痛と膨隆を主訴に前医を受診,肝右葉に巨大腫瘤を認め当院紹介受診となった.検査所見,腫瘍マーカーは正常範囲内であった.病変は肝右葉に造影CTで早期濃染を示し,中心に低吸収領域を伴う境界明瞭な径約15cm大の巨大腫瘍として描出された.また,EOB-MRIの肝細胞相で病変部に取り込みを認めた.以上より第一に限局性結節性過形成(以下FNH)を疑った.本症は若年であること巨大腫瘍で症状を伴うことから手術を施行した.切除標本は中心部に放射状の瘢痕形成を伴う淡褐色調の腫瘍で,組織学的にはほぼ背景肝と同様の肝細胞からなり,異常血管が多く見られ結節周囲部に細胆管が増生する部分がありFNHと診断された.右季肋部痛を契機に診断された巨大FNHの1切除症例を経験したため報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.1666