左肝管損傷および中部胆管断裂を合併した鈍的肝外傷の1例

症例は42歳,男性.バイク事故によりショック状態で当院へ救急搬送された.CTで肝内側区全体に及ぶIIIb型肝損傷があり,造影剤の血管外漏出を認めた.Transient responderであり,肝動脈塞栓術を施行した.止血は得られたが,受傷3日目に多量腹水による腹部コンパートメント症候群に対し腹腔ドレナージを行った.再度腹水貯留があり,受傷16日目に腹水穿刺を施行し胆汁混じりの腹水を認めた.胆管損傷を疑いDIC-3D-CT・MRCPを施行したが,胆管損傷部の診断に至らなかった.ERCPで中部胆管の断裂所見を認めたが,上流胆管の所見は得られず,経皮胆道造影を施行した.左肝管損傷および中部胆管断裂...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 6; pp. 1519 - 1524
Main Authors 山東, 雅紀, 新宮, 優二, 坂本, 英至, 渡邉, 博行, 法水, 信治, 田口, 泰郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.1519

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Summary:症例は42歳,男性.バイク事故によりショック状態で当院へ救急搬送された.CTで肝内側区全体に及ぶIIIb型肝損傷があり,造影剤の血管外漏出を認めた.Transient responderであり,肝動脈塞栓術を施行した.止血は得られたが,受傷3日目に多量腹水による腹部コンパートメント症候群に対し腹腔ドレナージを行った.再度腹水貯留があり,受傷16日目に腹水穿刺を施行し胆汁混じりの腹水を認めた.胆管損傷を疑いDIC-3D-CT・MRCPを施行したが,胆管損傷部の診断に至らなかった.ERCPで中部胆管の断裂所見を認めたが,上流胆管の所見は得られず,経皮胆道造影を施行した.左肝管損傷および中部胆管断裂の診断に至り,受傷51日目に肝左葉切除および右肝管空腸吻合を行った.経過良好で,術後21日目に退院となった.鈍的肝外傷に伴う胆管損傷の存在に留意すべきであり,複数箇所の胆管損傷部の診断に経皮胆道造影が有用であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.1519