肝動脈化学塞栓治療歴のある肉腫様変化を伴った肝内胆管癌の1例

症例は61歳女性.B型慢性肝炎経過観察中,2009年12月の腹部CTで肝S3とS4に腫瘍を認め,前医にて肝細胞癌(HCC)の診断下に,TACE(肝動脈化学塞栓療法)が施行された.肝S4の腫瘍は画像上指摘できなくなったが,残存した肝S3の腫瘍に対して2011年2月にRFA(ラジオ波焼灼術)が施行された.同年5月の腹部CTにて肝S4の腫瘍と前腹壁に限局性の腹膜結節を認めた.HCC再発+腹膜播種の診断下に当科で肝左葉切除・腹壁腫瘍切除術を施行した.病理組織学的に肝S4の腫瘍は腺管構造を保つ腫瘍細胞や紡錘形細胞など多彩な組織像を示し,肉腫様変化を伴った腺癌(肝内胆管癌)と診断された.肝S3のRFA部は...

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Published in肝臓 Vol. 54; no. 9; pp. 589 - 599
Main Authors 神藤, 修, 長澤, 正通, 稲葉, 圭介, 落合, 秀人, 鈴木, 昌八, 福本, 和彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2013
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.54.589

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Summary:症例は61歳女性.B型慢性肝炎経過観察中,2009年12月の腹部CTで肝S3とS4に腫瘍を認め,前医にて肝細胞癌(HCC)の診断下に,TACE(肝動脈化学塞栓療法)が施行された.肝S4の腫瘍は画像上指摘できなくなったが,残存した肝S3の腫瘍に対して2011年2月にRFA(ラジオ波焼灼術)が施行された.同年5月の腹部CTにて肝S4の腫瘍と前腹壁に限局性の腹膜結節を認めた.HCC再発+腹膜播種の診断下に当科で肝左葉切除・腹壁腫瘍切除術を施行した.病理組織学的に肝S4の腫瘍は腺管構造を保つ腫瘍細胞や紡錘形細胞など多彩な組織像を示し,肉腫様変化を伴った腺癌(肝内胆管癌)と診断された.肝S3のRFA部は大部分が壊死に陥っていたが,一部にviableなHCCが残存していた.術後10日で退院したが,2カ月目に横隔膜面を中心とした腹膜再発を認め,術後8カ月目に永眠された.肉腫様変化を伴う肝内胆管癌は稀であり,切除し得ても早期に腹膜播種などの再発を来し極めて予後不良である.文献的考察を加え報告する.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.54.589