術前に診断し腹臥位左胸腔鏡下腫瘍核出術を施行した食道神経鞘腫の1例
食道粘膜下腫瘍は術前診断が困難な場合が多く,また,腹臥位での左胸腔鏡下食道手術の報告はほとんどない.今回われわれは,稀な食道神経鞘腫を腹臥位左胸腔鏡下に摘出した1例を経験したので報告する.症例は65歳の女性.心窩部痛があり,上部消化管内視鏡検査で6cmの食道粘膜下腫瘍を指摘された.CTでは胸部中下部食道左壁に55×38mm大の内部均一な腫瘤を認めた.EUS-FNABを行い,S-100蛋白陽性で食道神経鞘腫と診断した.腫瘍が食道左壁に局在していたため,腹臥位での左胸腔鏡下腫瘍核出術を施行した.手術時間は207分,出血量は3gであった.経過良好であり,術後8日目に退院した.食道粘膜下腫瘍に対する術...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 5; pp. 1073 - 1077 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2016
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.77.1073 |
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Summary: | 食道粘膜下腫瘍は術前診断が困難な場合が多く,また,腹臥位での左胸腔鏡下食道手術の報告はほとんどない.今回われわれは,稀な食道神経鞘腫を腹臥位左胸腔鏡下に摘出した1例を経験したので報告する.症例は65歳の女性.心窩部痛があり,上部消化管内視鏡検査で6cmの食道粘膜下腫瘍を指摘された.CTでは胸部中下部食道左壁に55×38mm大の内部均一な腫瘤を認めた.EUS-FNABを行い,S-100蛋白陽性で食道神経鞘腫と診断した.腫瘍が食道左壁に局在していたため,腹臥位での左胸腔鏡下腫瘍核出術を施行した.手術時間は207分,出血量は3gであった.経過良好であり,術後8日目に退院した.食道粘膜下腫瘍に対する術式選択は術前診断に大きく左右されるため,正診率の高いEUS-FNABによる組織診を行うことが重要である.また,胸部中下部食道左壁の粘膜下腫瘍に対する核出術では,腹臥位での左胸腔鏡アプローチが有用である. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.77.1073 |