横行結腸癌肝転移が疑われた肝内胆管腺腫の1例

肝内胆管腺腫は,画像検査で診断されることは少なく,多くは剖検時または手術時に偶然発見される稀な胆管細胞由来の肝良性上皮性腫瘍である.今回,横行結腸癌の肝転移が疑われた肝内胆管腺腫の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は74歳,男性.T4aN1M0の横行結腸癌で左半結腸切除術施行後,1年目のCTで肝S8に7mm大の低吸収域が指摘され,EOB-MRIのT2強調像で淡い高信号,拡散強調像で高信号,肝細胞相で低信号を呈し,結腸癌の肝転移と診断し,肝部分切除術を施行した.病理組織学的検査で胆管類似の小型腺管集簇増生からなる腫瘤で,免疫染色でCK7陽性,CK20陰性であり,肝内胆管腺腫と診...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 8; pp. 1995 - 2000
Main Authors 武藤, 亮, 佐藤, 耕一郎, 阿部, 隆之, 上村, 卓嗣, 三浦, 佑一, 加藤, 博孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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Summary:肝内胆管腺腫は,画像検査で診断されることは少なく,多くは剖検時または手術時に偶然発見される稀な胆管細胞由来の肝良性上皮性腫瘍である.今回,横行結腸癌の肝転移が疑われた肝内胆管腺腫の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は74歳,男性.T4aN1M0の横行結腸癌で左半結腸切除術施行後,1年目のCTで肝S8に7mm大の低吸収域が指摘され,EOB-MRIのT2強調像で淡い高信号,拡散強調像で高信号,肝細胞相で低信号を呈し,結腸癌の肝転移と診断し,肝部分切除術を施行した.病理組織学的検査で胆管類似の小型腺管集簇増生からなる腫瘤で,免疫染色でCK7陽性,CK20陰性であり,肝内胆管腺腫と診断された.肝内胆管腺腫は肉眼上も転移性肝癌に類似し,鑑別診断が難しく,悪性腫瘍に併存した肝腫瘍の診断に際し,本疾患の存在を十分認識する必要があると考えられる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.1995