低灌流体外循環にて塞栓予防を行った一期的胸部大動脈全置換

症例は70歳,男性.B型解離の既往があり弓部大動脈の嚢状瘤と慢性解離性大動脈瘤の治療目的で入院した.造影CTで弓部および下行大動脈に内腔に突出した動脈硬化性粥腫を多数認めた.粥腫飛散による塞栓の予防のためAnterolateral thoracotomy with partial sternotomyにて通常の1/2の送血量で冷却後,脳分離体外循環とし全胸部大動脈置換術を行った.術後臓器障害を認めず,脳・脊髄合併症もなく独歩退院した.送血流ジェットでの粥腫破壊を防ぐための低灌流法は冷却過程においても心拍出を継続しながら総循環量を維持でき,酸素需要供給バランスを崩すことなく安全に行える塞栓予防方...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 50; no. 2; pp. 110 - 113
Main Authors 首藤, 敬史, 岡本, 啓太郎, 宮本, 伸二, 和田, 朋之, 溝口, 貴之, 小田, 款文, 森, 和樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.03.2021
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.50.110

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Summary:症例は70歳,男性.B型解離の既往があり弓部大動脈の嚢状瘤と慢性解離性大動脈瘤の治療目的で入院した.造影CTで弓部および下行大動脈に内腔に突出した動脈硬化性粥腫を多数認めた.粥腫飛散による塞栓の予防のためAnterolateral thoracotomy with partial sternotomyにて通常の1/2の送血量で冷却後,脳分離体外循環とし全胸部大動脈置換術を行った.術後臓器障害を認めず,脳・脊髄合併症もなく独歩退院した.送血流ジェットでの粥腫破壊を防ぐための低灌流法は冷却過程においても心拍出を継続しながら総循環量を維持でき,酸素需要供給バランスを崩すことなく安全に行える塞栓予防方法であると思われる.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.50.110