診断に苦慮したS状結腸間膜子宮内膜症の1例

症例は73歳,女性.腹痛を主訴に前医を受診し,胆嚢炎・胆管炎と診断され,内視鏡的逆行性胆管ドレナージにより軽快した.胆嚢摘出術を勧められたところ当院での手術を希望し,当科へ紹介受診となった.術前精査の腹部単純CTでS状結腸間膜に周囲脂肪織のひきつれを伴う結節を認めた.MRIでも同様の所見でPET/CTでFDGの集積を認めた.腸間膜カルチノイドなど悪性疾患の可能性を考慮して,腹腔鏡下胆嚢摘出術と同時に腹腔鏡下S状結腸切除術(D3郭清)を施行した.切除標本の病理学的検査でエストロゲン受容体・プロゲステロン受容体の発現が見られ,S状結腸間膜子宮内膜症の診断となった.子宮内膜症病変が腸間膜に発生するこ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 4; pp. 714 - 718
Main Authors 福田, 優人, 畑中, 信良, 大澤, 日出樹, 高山, 慶太, 井出, 義人, 山崎, 芳郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.714

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Summary:症例は73歳,女性.腹痛を主訴に前医を受診し,胆嚢炎・胆管炎と診断され,内視鏡的逆行性胆管ドレナージにより軽快した.胆嚢摘出術を勧められたところ当院での手術を希望し,当科へ紹介受診となった.術前精査の腹部単純CTでS状結腸間膜に周囲脂肪織のひきつれを伴う結節を認めた.MRIでも同様の所見でPET/CTでFDGの集積を認めた.腸間膜カルチノイドなど悪性疾患の可能性を考慮して,腹腔鏡下胆嚢摘出術と同時に腹腔鏡下S状結腸切除術(D3郭清)を施行した.切除標本の病理学的検査でエストロゲン受容体・プロゲステロン受容体の発現が見られ,S状結腸間膜子宮内膜症の診断となった.子宮内膜症病変が腸間膜に発生することは非常に稀である.今回S状結腸間膜に生じた子宮内膜症の1例を経験したので,考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.714