腸重積を契機に発見された悪性末梢神経鞘腫小腸転移の1例

症例は64歳,男性.2002年に左胸部悪性末梢神経鞘腫切除術を施行.2013年2月,同部位に再発し切除術を施行したが,2013年8月に多発肺転移を指摘されている.既往にvon Recklinghausen病はない.2013年10月,腹部膨満感を主訴に来院し,腸重積による腸閉塞の診断で入院となった.腹痛はなく腸管壊死には陥っていないと考えられたため,イレウスチューブにて減圧し手術を施行した.開腹所見ではTreitz靱帯より150cmの小腸に腸重積を認め,Hutchinson手技にて整復したところ腫瘍性病変を触知し,同部位の切除を行った.摘出標本には内腔に突出した弾性軟の腫瘍を認め,病理学的検査で...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 4; pp. 793 - 796
Main Authors 松村, 宗幸, 成田, 知宏, 水野, 豊, 岡本, 道孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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Summary:症例は64歳,男性.2002年に左胸部悪性末梢神経鞘腫切除術を施行.2013年2月,同部位に再発し切除術を施行したが,2013年8月に多発肺転移を指摘されている.既往にvon Recklinghausen病はない.2013年10月,腹部膨満感を主訴に来院し,腸重積による腸閉塞の診断で入院となった.腹痛はなく腸管壊死には陥っていないと考えられたため,イレウスチューブにて減圧し手術を施行した.開腹所見ではTreitz靱帯より150cmの小腸に腸重積を認め,Hutchinson手技にて整復したところ腫瘍性病変を触知し,同部位の切除を行った.摘出標本には内腔に突出した弾性軟の腫瘍を認め,病理学的検査では悪性末梢神経鞘腫であり,原発病変よりも悪性化していると考えられた.悪性末梢神経鞘腫の小腸転移が,腸重積を契機に発見された1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.793