アルコール性肝硬変に合併しPIVKA-II高値を呈した肝炎症性偽腫瘍の1例
アルコール性肝硬変に合併しPIVKA-II高値を呈した肝炎症性偽腫瘍を経験した.症例は74歳,男性.ビール4,000ml/日のアルコール多飲歴があった.検診で肝機能異常を指摘され近医を受診,腹部超音波検査で肝右葉に6cm大の腫瘍を認め,当科紹介受診となった.体温37.0度.血液検査所見は軽度の炎症反応の上昇を認めた.腫瘍マーカーはPIVKA-IIが554mAU/mlと上昇していた.HBs抗原,HCV抗体ともに陰性であった.腹部CT検査・腹部MRI検査より肝細胞癌を疑い,肝S7亜区域切除を行った.病理組織学的検査でリンパ球や形質細胞の浸潤を伴う筋線維芽細胞が増生する像を認め,肝炎症性偽腫瘍と診断...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 1; pp. 142 - 147 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2016
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.77.142 |
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Summary: | アルコール性肝硬変に合併しPIVKA-II高値を呈した肝炎症性偽腫瘍を経験した.症例は74歳,男性.ビール4,000ml/日のアルコール多飲歴があった.検診で肝機能異常を指摘され近医を受診,腹部超音波検査で肝右葉に6cm大の腫瘍を認め,当科紹介受診となった.体温37.0度.血液検査所見は軽度の炎症反応の上昇を認めた.腫瘍マーカーはPIVKA-IIが554mAU/mlと上昇していた.HBs抗原,HCV抗体ともに陰性であった.腹部CT検査・腹部MRI検査より肝細胞癌を疑い,肝S7亜区域切除を行った.病理組織学的検査でリンパ球や形質細胞の浸潤を伴う筋線維芽細胞が増生する像を認め,肝炎症性偽腫瘍と診断した.術後PIVKA-IIは14mAU/mlまで低下した.アルコール性肝障害では,栄養障害に起因するビタミンK欠乏の可能性があり,PIVKA-II高値の評価に際しては十分な注意が必要である. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.77.142 |