胆管原発内分泌細胞癌の1例

症例は59歳の女性で,発熱,全身倦怠感があり近医を受診し,胆道感染症の疑いで当院に紹介となった.画像検査で下部胆管に内腔を狭窄する腫瘍を認め,内視鏡的逆行性胆管造影時の胆管擦過細胞診で小細胞癌を強く疑うとの結果であった.下部胆管原発小細胞癌の診断で,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術およびリンパ節郭清を行った.病理組織学的検査および免疫組織学的検査により,腺癌成分の混在のないpure typeの小細胞癌と診断した.術後,補助化学療法として肺小細胞癌化学療法レジメンに基づきシスプラチン/エトポシド療法を4コース施行し,術後23カ月が経過し,無再発生存中である.胆管原発小細胞癌はまれな疾患で,手術で治癒...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 3; pp. 785 - 790
Main Authors 木村, 裕司, 稲垣, 優, 北田, 浩二, 岩垣, 博巳, 徳永, 尚之, 岩川, 和秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.785

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Summary:症例は59歳の女性で,発熱,全身倦怠感があり近医を受診し,胆道感染症の疑いで当院に紹介となった.画像検査で下部胆管に内腔を狭窄する腫瘍を認め,内視鏡的逆行性胆管造影時の胆管擦過細胞診で小細胞癌を強く疑うとの結果であった.下部胆管原発小細胞癌の診断で,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術およびリンパ節郭清を行った.病理組織学的検査および免疫組織学的検査により,腺癌成分の混在のないpure typeの小細胞癌と診断した.術後,補助化学療法として肺小細胞癌化学療法レジメンに基づきシスプラチン/エトポシド療法を4コース施行し,術後23カ月が経過し,無再発生存中である.胆管原発小細胞癌はまれな疾患で,手術で治癒切除された症例であっても早期に転移・再発をきたしやすく予後不良であるが,根治術後に肺小細胞癌化学療法レジメンに準じた術後化学療法を施行し良好な成績を得た1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.785