急性虫垂炎の術後に腹壁壊死と腸管穿孔をきたした赤痢アメーバ感染の1例
症例は53歳,女性.発熱,下腹部痛を主訴に受診した.急性虫垂炎・腹腔内膿瘍の診断で,虫垂切除術・膿瘍ドレナージ術を施行した.術後ドレーンより膿性排液が続き,遺残膿瘍の診断で第10病日に洗浄ドレナージ術を施行したが,感染は進行し皮下膿瘍から腹壁壊死,さらにS状結腸穿通をきたし,第31病日にS状結腸切除術・回盲部切除術を施行した.抗生剤加療および局所洗浄を継続したが感染コントロールが困難を極め,腹壁欠損部より露出した回結腸吻合部が穿孔をきたし,第59病日に穿孔部閉鎖術・腹壁デブリードマンを施行した.切除した皮下組織の病理組織学的診断でアメーバ虫体が認められ,赤痢アメーバ感染と診断した.メトロニダゾ...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 4; pp. 797 - 802 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2015
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.76.797 |
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Summary: | 症例は53歳,女性.発熱,下腹部痛を主訴に受診した.急性虫垂炎・腹腔内膿瘍の診断で,虫垂切除術・膿瘍ドレナージ術を施行した.術後ドレーンより膿性排液が続き,遺残膿瘍の診断で第10病日に洗浄ドレナージ術を施行したが,感染は進行し皮下膿瘍から腹壁壊死,さらにS状結腸穿通をきたし,第31病日にS状結腸切除術・回盲部切除術を施行した.抗生剤加療および局所洗浄を継続したが感染コントロールが困難を極め,腹壁欠損部より露出した回結腸吻合部が穿孔をきたし,第59病日に穿孔部閉鎖術・腹壁デブリードマンを施行した.切除した皮下組織の病理組織学的診断でアメーバ虫体が認められ,赤痢アメーバ感染と診断した.メトロニダゾール投与後,感染は消退し,肉芽による腹壁の閉鎖が得られ,第189病日に退院した.虫垂炎術後に発症し,感染コントロールに難渋したが,確定診断後の治療が著効した赤痢アメーバ感染の稀な1例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.76.797 |