上大静脈・右心房浸潤および肺動脈腫瘍塞栓を伴う浸潤性胸腺腫の切除例

症例は40代男性.顔面と両上肢の浮腫を主訴に前医を受診し,胸部CTで前縦隔に充実性腫瘍および右主肺動脈塞栓を指摘された.腫瘍は上大静脈内から右心房内へ進展していた.CTガイド下生検でWHO分類TypeB2・正岡分類III期の胸腺腫と診断されたが,心臓内進展を伴うため切除不能と診断され,化学療法を施行された.しかし,治療効果は乏しく,腫瘍は両側腕頭静脈から右心室内にまで進展した.突然死のリスクありと判断され当院紹介となり,拡大胸腺胸腺腫摘出術および浸潤臓器の合併切除を行った.術前PET-CTで左主肺動脈内にFDG集積を伴う塞栓を認めたため,腫瘍塞栓を疑い,両側肺動脈塞栓摘除術を同時に施行した.術...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 1; pp. 46 - 53
Main Authors 上野, 高義, 新谷, 康, 舟木, 壮一郎, 池, 晃弘, 大瀬, 尚子, 南, 正人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.01.2022
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.36.46

Cover

More Information
Summary:症例は40代男性.顔面と両上肢の浮腫を主訴に前医を受診し,胸部CTで前縦隔に充実性腫瘍および右主肺動脈塞栓を指摘された.腫瘍は上大静脈内から右心房内へ進展していた.CTガイド下生検でWHO分類TypeB2・正岡分類III期の胸腺腫と診断されたが,心臓内進展を伴うため切除不能と診断され,化学療法を施行された.しかし,治療効果は乏しく,腫瘍は両側腕頭静脈から右心室内にまで進展した.突然死のリスクありと判断され当院紹介となり,拡大胸腺胸腺腫摘出術および浸潤臓器の合併切除を行った.術前PET-CTで左主肺動脈内にFDG集積を伴う塞栓を認めたため,腫瘍塞栓を疑い,両側肺動脈塞栓摘除術を同時に施行した.術後病理組織診断で,腫瘍はWHO分類TypeB3・正岡分類III期の胸腺腫と診断され,左肺動脈塞栓は腫瘍塞栓であった.現在,術後肺内転移に対して化学療法中である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.36.46