胃がん胸膜転移の胸壁進展によるがん性悪臭に対しメトロニダゾールが有効であった1例

進行がんの浸潤によって生じた皮膚潰瘍は, その自壊による悪臭(がん性悪臭)を伴うことが多い. われわれは胃がんの胸膜転移の胸壁進展によって生じた皮膚潰瘍部のがん性悪臭にメトロニダゾールが有効であった症例を経験した. 症例は60歳代, 男性. 胃がん術後の吻合部縫合不全により生じた左横隔膜下膿瘍から経横隔膜的に膿胸となり, 胸腔ドレーンを留置した. また両側肺野と胸膜面への転移が認められた. その後, 胸腔ドレーンと胸壁との間隙を介して胸膜転移巣が胸壁に進展し, 自壊して潰瘍を形成し, 悪臭を発するようになった. メトロニダゾール軟膏の塗布を開始したところ, がん性悪臭の改善がみられた. 臭気測...

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Published inPalliative Care Research Vol. 4; no. 2; pp. 339 - 345
Main Authors 安田, 麻衣子, 大戸, 五百子, 玉井, 宏一, 坂川, 美保, 澤田, 貴裕, 畑地, 豪
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本緩和医療学会 2009
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ISSN1880-5302
DOI10.2512/jspm.4.339

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Summary:進行がんの浸潤によって生じた皮膚潰瘍は, その自壊による悪臭(がん性悪臭)を伴うことが多い. われわれは胃がんの胸膜転移の胸壁進展によって生じた皮膚潰瘍部のがん性悪臭にメトロニダゾールが有効であった症例を経験した. 症例は60歳代, 男性. 胃がん術後の吻合部縫合不全により生じた左横隔膜下膿瘍から経横隔膜的に膿胸となり, 胸腔ドレーンを留置した. また両側肺野と胸膜面への転移が認められた. その後, 胸腔ドレーンと胸壁との間隙を介して胸膜転移巣が胸壁に進展し, 自壊して潰瘍を形成し, 悪臭を発するようになった. メトロニダゾール軟膏の塗布を開始したところ, がん性悪臭の改善がみられた. 臭気測定器を用いた評価に加え, 患者自身による主観的評価スコアによっても有効性が確認できた. Palliat Care Res 2009; 4(2): 339-345
ISSN:1880-5302
DOI:10.2512/jspm.4.339