胆管癌肉腫の1例

症例は64歳の男性で,黄疸と倦怠感を主訴に当院を受診した.造影CT所見で遠位胆管に25 mmの造影効果の乏しい占拠性病変を認め,ERCP所見で狭窄像を認めた.胆管生検で非上皮性異型細胞を認め,胆管原発性悪性腫瘍の診断で亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理学的所見で胆管癌肉腫と診断された.胆管癌肉腫はこれまでに邦文と英文で32例の報告があり,極めて稀である.今回われわれは文献学的考察を加え,胆管癌肉腫と胆管癌を比較した.胆管癌肉腫は胆管癌と比較して発症年齢,性別,症状,血液生化学検査値,画像所見で治療前に鑑別することは困難であると考えられた.胆管癌肉腫は胆管癌と比較して予後は不良であり,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 7; pp. 1386 - 1390
Main Authors 岡本, 知実, 大村, 健二, 峯田, 章, 尾崎, 貴洋, 若林, 剛, 長田, 宏巳, 五十嵐, 一晴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.1386

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Summary:症例は64歳の男性で,黄疸と倦怠感を主訴に当院を受診した.造影CT所見で遠位胆管に25 mmの造影効果の乏しい占拠性病変を認め,ERCP所見で狭窄像を認めた.胆管生検で非上皮性異型細胞を認め,胆管原発性悪性腫瘍の診断で亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理学的所見で胆管癌肉腫と診断された.胆管癌肉腫はこれまでに邦文と英文で32例の報告があり,極めて稀である.今回われわれは文献学的考察を加え,胆管癌肉腫と胆管癌を比較した.胆管癌肉腫は胆管癌と比較して発症年齢,性別,症状,血液生化学検査値,画像所見で治療前に鑑別することは困難であると考えられた.胆管癌肉腫は胆管癌と比較して予後は不良であり,更なる報告例の集積により,胆管癌肉腫の診断・治療の標準化が望まれる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.1386