腹腔鏡手術を施行した総肝動脈門脈背側走行を伴う胃癌の1例

腹腔動脈分枝には様々な破格があり,胃切除術における郭清操作において注意を必要とする.患者は76歳の女性で,胃角部小彎側の中分化型管状腺癌と診断され,腹部造影CTにおいて総肝動脈が門脈の背側を走行していることが確認された.腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行.術中,総肝動脈の前面に門脈の走行およびそれに直接流入する左胃静脈を認めたが,総肝動脈周囲および門脈周囲郭清組織を牽引することにより良好な視野が得られ,安全な郭清と左胃静脈の結紮が可能であった.血管走行の破格に対してはその特徴とリスク,対応する手術手技を理解しておくことが安全で正確な手術操作に寄与すると考えられた....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 8; pp. 1673 - 1677
Main Authors 森岡, 三智奈, 桃原, 侑利, 岡本, 三智夫, 平良, 済, 小山, 幸法, 金澤, 旭宣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.1673

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Summary:腹腔動脈分枝には様々な破格があり,胃切除術における郭清操作において注意を必要とする.患者は76歳の女性で,胃角部小彎側の中分化型管状腺癌と診断され,腹部造影CTにおいて総肝動脈が門脈の背側を走行していることが確認された.腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行.術中,総肝動脈の前面に門脈の走行およびそれに直接流入する左胃静脈を認めたが,総肝動脈周囲および門脈周囲郭清組織を牽引することにより良好な視野が得られ,安全な郭清と左胃静脈の結紮が可能であった.血管走行の破格に対してはその特徴とリスク,対応する手術手技を理解しておくことが安全で正確な手術操作に寄与すると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.1673