筋突起過形成の術後に下顎の前方偏位をきたした1例

筋突起過形成に伴う開口障害がみられた患者に対して, 筋突起切離術を行った後に下顎の前方偏位をきたした症例を報告した。症例は27歳の女性で, 7歳頃より開口障害を自覚していたが放置していた。21歳時顎関節症と診断され, 筋突起過形成と正しく診断されるまでの6年間不適切な治療を受けていた。断層X線, オトガイ下頭頂方向撮影, 3D-CT所見にて両側性筋突起過形成が認められたため, 全身麻酔下にて口内法による両側筋突起切離術を施行した。術中50mmの開口量を得た。術後開口訓練を行うことにより, 下顎が前方へ偏位し, 復位不能となった。そこで後方誘導型スプリントを装着させて, 閉口時に下顎を後方へ動か...

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Published inJournal of the Japanese Society for the Temporomandibular Joint Vol. 14; no. 2; pp. 184 - 187
Main Authors 羽地, 都映, 下地, 森夫, 砂川, 元, 花城, 国英, 神農, 悦輝, 比嘉, 努
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 2002
The Japanese Society for Temporomandibular Joint
Subjects
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu1989.14.184

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Summary:筋突起過形成に伴う開口障害がみられた患者に対して, 筋突起切離術を行った後に下顎の前方偏位をきたした症例を報告した。症例は27歳の女性で, 7歳頃より開口障害を自覚していたが放置していた。21歳時顎関節症と診断され, 筋突起過形成と正しく診断されるまでの6年間不適切な治療を受けていた。断層X線, オトガイ下頭頂方向撮影, 3D-CT所見にて両側性筋突起過形成が認められたため, 全身麻酔下にて口内法による両側筋突起切離術を施行した。術中50mmの開口量を得た。術後開口訓練を行うことにより, 下顎が前方へ偏位し, 復位不能となった。そこで後方誘導型スプリントを装着させて, 閉口時に下顎を後方へ動かす顎運動訓練を指導した。その後2か月で下顎の前方偏位は改善した。術後1年経過した現在, 開口量は40mmで, 下顎の前方偏位は認められていない。筋突起切離後, 下顎の前方偏位をきたした症例に対し, 後方誘導型スプリントによる顎運動訓練は, 従来行われてきた治療法に比べ簡便かつ有用な治療法であると考えられた。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu1989.14.184