鼻腔内に萌出した逆生歯牙の3例

逆生歯牙とは,歯牙が正常歯列から外れて歯冠が正常と逆方向へ萌出したものであり,固有鼻腔内や上顎洞内,上顎骨内へ転位した歯牙のことをいう。本邦でいくつか報告はあるものの日常の診療で遭遇することは比較的まれである。今回我々は鼻腔内に萌出した逆生歯牙の3例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。逆生歯牙の発生原因は様々であるが,今回の3例はいずれも欠損歯は認められず,過剰歯胚による逆生歯牙と考えられた。症状は鼻閉,鼻出血,膿性あるいは血性鼻漏,鼻や顔面の痛みなどが生じうるが,無症状の場合もある。発生部位は固有鼻腔内と上顎洞内と上顎骨内が9:4:1といわれるが,固有鼻腔内に萌出した症例ではこ...

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Published in日本鼻科学会会誌 Vol. 57; no. 4; pp. 611 - 615
Main Authors 大西, 将美, 髙木, 千晶, 梅田, 実希
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本鼻科学会 2018
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ISSN0910-9153
1883-7077
DOI10.7248/jjrhi.57.611

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Summary:逆生歯牙とは,歯牙が正常歯列から外れて歯冠が正常と逆方向へ萌出したものであり,固有鼻腔内や上顎洞内,上顎骨内へ転位した歯牙のことをいう。本邦でいくつか報告はあるものの日常の診療で遭遇することは比較的まれである。今回我々は鼻腔内に萌出した逆生歯牙の3例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。逆生歯牙の発生原因は様々であるが,今回の3例はいずれも欠損歯は認められず,過剰歯胚による逆生歯牙と考えられた。症状は鼻閉,鼻出血,膿性あるいは血性鼻漏,鼻や顔面の痛みなどが生じうるが,無症状の場合もある。発生部位は固有鼻腔内と上顎洞内と上顎骨内が9:4:1といわれるが,固有鼻腔内に萌出した症例ではこれらの症状が出現しやすく発見されやすいためと考えられる。鑑別疾患として異物や鼻石,真菌感染などによる炎症性病変,骨腫などの腫瘍が挙げられ,確定診断のためには早期の摘出が望ましい。摘出方法は経鼻腔法,経硬口蓋法,経口腔前庭法があるが,近年は鼻腔内に萌出した逆生歯牙については内視鏡下で摘出する(経鼻腔法)のが一般的であり,今回の3例とも内視鏡下で容易に摘出可能であった。
ISSN:0910-9153
1883-7077
DOI:10.7248/jjrhi.57.611