急性腹症診療における医療訴訟と医療水準

急性腹症に関する裁判は少なくない。胆石症・胆嚢炎,急性膵炎,絞扼性イレウス,虫垂炎について直近10年間の裁判例を調査検討した。病院側有責事例は23例あり,過失は,検査・診断6例,手術時期3例,治療・処置5例,手術手技5例および術後管理5例等であった。裁判では,書証や鑑定等をもとに医療水準が認定される。今回の調査では,書証として,「急性膵炎の診療ガイドライン」,「急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン」が用いられていた。ガイドラインを念頭に置いた診療が重要である。鑑定が行われている事例では,鑑定結果に沿った医療水準が示されており,鑑定の質の維持ならびに向上が望まれる。...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 33; no. 1; pp. 23 - 29
Main Authors 佐々木, 隆光, 中村, 伸理子, 山下, 裕一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2013
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.33.23

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Summary:急性腹症に関する裁判は少なくない。胆石症・胆嚢炎,急性膵炎,絞扼性イレウス,虫垂炎について直近10年間の裁判例を調査検討した。病院側有責事例は23例あり,過失は,検査・診断6例,手術時期3例,治療・処置5例,手術手技5例および術後管理5例等であった。裁判では,書証や鑑定等をもとに医療水準が認定される。今回の調査では,書証として,「急性膵炎の診療ガイドライン」,「急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン」が用いられていた。ガイドラインを念頭に置いた診療が重要である。鑑定が行われている事例では,鑑定結果に沿った医療水準が示されており,鑑定の質の維持ならびに向上が望まれる。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.33.23