弁別課題にみられる初期陰性成分の分析-NA, MMN, N2bの比較検討

2種類の音刺激 (1000Hz;80%, 1100H乙;20%) を提示して, 3条件下でERPを測定した.すなわち, それらの音刺激に対して選択的に反応させる2肢選択反応時間 (CRT) 課題, 音の違いを無視して同じ反応をさせる単純反応時間 (SRT) 課題, 本を読ませて音を無視させる (READ) 条件を被験者に与えた. READ条件ではNA成分は出現しなかったが, 他の2条件ではNAが出現したが, その振幅はCRT条件の場合の方がSRT条件よりも大きかった.一方, MMNは全条件で認められ, 振幅の差も条件間でみられなかった.さらに, N2bはNA同様, READ条件ではみられず,C...

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Published in生理心理学と精神生理学 Vol. 8; no. 1; pp. 19 - 30
Main Authors 投石, 保広, 下河内, 稔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理心理学会 30.06.1990
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Summary:2種類の音刺激 (1000Hz;80%, 1100H乙;20%) を提示して, 3条件下でERPを測定した.すなわち, それらの音刺激に対して選択的に反応させる2肢選択反応時間 (CRT) 課題, 音の違いを無視して同じ反応をさせる単純反応時間 (SRT) 課題, 本を読ませて音を無視させる (READ) 条件を被験者に与えた. READ条件ではNA成分は出現しなかったが, 他の2条件ではNAが出現したが, その振幅はCRT条件の場合の方がSRT条件よりも大きかった.一方, MMNは全条件で認められ, 振幅の差も条件間でみられなかった.さらに, N2bはNA同様, READ条件ではみられず,CRTとSRTの両条件で出現したが, 両条件問で振幅差はなかった.これらの条件による差と, 出現潜時の違いから, これら3成分はそれぞれ異なった心理過程に対応していると考えることができた.
ISSN:0289-2405
2185-551X
DOI:10.5674/jjppp1983.8.19