気管支内転移を認め原発性肺癌との鑑別を要した副腎皮質癌の1例
背景.副腎皮質癌は非常に稀な腫瘍であり,肺はその好発転移部位の一つとされているが,気管支内転移の報告はほとんど無い.症例.68歳男性.腹部超音波検診で左副腎腫瘤と多発肝結節を指摘された.造影CTで右肺下葉の辺縁不整な結節影,両肺の粒状影・小結節影,右B6気管支近位の隆起性病変,両側縦隔肺門リンパ節腫大,右胸水貯留,上腹部リンパ節腫大も認め,原発性肺癌の多発転移が疑われたため当科に入院となった.気管支鏡検査で右B6入口部にポリープ状腫瘍を認め,その腫瘍と気管分岐下リンパ節,左副腎腫瘍の病理組織検査より副腎皮質癌の多発転移と診断した.血液検査よりコルチゾール過剰産生を伴ったCushing症候群と考...
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Published in | 気管支学 Vol. 47; no. 3; pp. 201 - 206 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本呼吸器内視鏡学会
25.05.2025
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Subjects | |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.47.3_201 |
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Summary: | 背景.副腎皮質癌は非常に稀な腫瘍であり,肺はその好発転移部位の一つとされているが,気管支内転移の報告はほとんど無い.症例.68歳男性.腹部超音波検診で左副腎腫瘤と多発肝結節を指摘された.造影CTで右肺下葉の辺縁不整な結節影,両肺の粒状影・小結節影,右B6気管支近位の隆起性病変,両側縦隔肺門リンパ節腫大,右胸水貯留,上腹部リンパ節腫大も認め,原発性肺癌の多発転移が疑われたため当科に入院となった.気管支鏡検査で右B6入口部にポリープ状腫瘍を認め,その腫瘍と気管分岐下リンパ節,左副腎腫瘍の病理組織検査より副腎皮質癌の多発転移と診断した.血液検査よりコルチゾール過剰産生を伴ったCushing症候群と考えられた.結論.原発腫瘍と気管支内転移を同時診断した副腎皮質癌の症例を経験した.その臨床的類似性から原発性肺癌との鑑別が重要であるが,気管支鏡検査を含めた複数の生検と内分泌学的検査が診断に寄与した. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.47.3_201 |