大学病院における医療職者の努力–報酬不均衡モデルによる職業性ストレスと労働災害・医療事故との関係
九州北部の5つの大学病院で働く対人業務のある医療専門職を対象に,2020年に労働災害や医療事故の発生状況を調査し,リスク要因を探索的に評価した.4職種(看護師1,305人,医師481人,放射線技師90人,薬剤師51人)を抽出し,過去1年間の労働災害および医療事故の発生とヒヤリ・ハット経験の回答に基づき職種別に高リスク群と低リスク群に分け,精神健康調査GHQ,主観的健康感,努力–報酬不均衡モデルで示される職業性ストレス,仕事や生活の時間的要因を比較し評価した.調査結果では,全職種で職業性ストレスと労災・医療事故リスクとの有意な関連が示された.薬剤師を除く高リスク群には精神健康の問題も見られた.看...
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Published in | 労働安全衛生研究 Vol. 16; no. 2; pp. 117 - 125 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
30.09.2023
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Subjects | |
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ISSN | 1882-6822 1883-678X |
DOI | 10.2486/josh.JOSH-2023-0004-GE |
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Summary: | 九州北部の5つの大学病院で働く対人業務のある医療専門職を対象に,2020年に労働災害や医療事故の発生状況を調査し,リスク要因を探索的に評価した.4職種(看護師1,305人,医師481人,放射線技師90人,薬剤師51人)を抽出し,過去1年間の労働災害および医療事故の発生とヒヤリ・ハット経験の回答に基づき職種別に高リスク群と低リスク群に分け,精神健康調査GHQ,主観的健康感,努力–報酬不均衡モデルで示される職業性ストレス,仕事や生活の時間的要因を比較し評価した.調査結果では,全職種で職業性ストレスと労災・医療事故リスクとの有意な関連が示された.薬剤師を除く高リスク群には精神健康の問題も見られた.看護師と医師の高リスク群は,低リスク群に比べ労働時間が長く,夜勤回数も多かった.睡眠不十分と家事時間はリスクとの関連を示さなかった.職業性ストレスは病院間の違いや性,年齢等の交絡因子を調整したマルチレベル混合効果ロジスティック回帰分析でも,全職種で労災・医療事故リスクと有意な関連を示した.この結果から,医療専門職の職場でのストレスを軽減することが,労災・医療事故リスクの低減につながる可能性があると示唆された. |
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ISSN: | 1882-6822 1883-678X |
DOI: | 10.2486/josh.JOSH-2023-0004-GE |