実臨床における心房細動の現況 診断・治療も含めたホルター心電図による検討

最近,無症候性ならびに発作性心房細動(AF)の患者数が増加し,時には広範な脳塞栓を発症してから,初めてAFが発見される事例も少なくない.そこで,実地診療上におけるAF発見に対するホルター心電図検査の有用性について検討した.対象は,循環器専門以外の病医院(以下,依頼元)から判読を依頼されたホルター心電図検査2041件のうちAFが確認された333例(16.3%)(AF群),ならびに対照群330例で,以下の諸項目に関して検討した.①解析項目を両群間で比較した結果:性別はAF群で男性が女性に比し高率で,年代分布はAF群は高年齢層に多く,AFにおける脳梗塞の発症リスク因子(CHADS2スコア)との関連は...

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Published in心電図 Vol. 39; no. 2; pp. 101 - 108
Main Author 沢山, 俊民
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 18.07.2019
日本不整脈心電学会
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.39.101

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Summary:最近,無症候性ならびに発作性心房細動(AF)の患者数が増加し,時には広範な脳塞栓を発症してから,初めてAFが発見される事例も少なくない.そこで,実地診療上におけるAF発見に対するホルター心電図検査の有用性について検討した.対象は,循環器専門以外の病医院(以下,依頼元)から判読を依頼されたホルター心電図検査2041件のうちAFが確認された333例(16.3%)(AF群),ならびに対照群330例で,以下の諸項目に関して検討した.①解析項目を両群間で比較した結果:性別はAF群で男性が女性に比し高率で,年代分布はAF群は高年齢層に多く,AFにおける脳梗塞の発症リスク因子(CHADS2スコア)との関連はAF群で高血圧,心不全,75歳以上が,それぞれ有意に多かった.②AFの診断結果:本検査以前からAFと診断されていたのは31%のみで,本検査を受けた結果,多くの発作性AF例ならびに2倍以上の無症候性AF例が発見された.③抗凝固薬使用の現況:依頼元からの服薬内容が記載されていたのは9.3%のみであったが,本検査の結果,抗凝固薬が必要と思われた例は全体の24.6%で,それらに対しては,依頼元に服薬を考慮するよう通達した.したがって,実地診療上におけるホルター心電図検査は,AF,とりわけ無症候性ならびに発作性例の確認に加えて抗凝固療法を考慮する上で,重要と考えられた.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.39.101