COVID-19における嗅裂閉鎖所見と嗅覚障害の検討
背景:COVID-19の特徴的な症状の一つとして,嗅覚障害が報告されている。嗅覚障害を訴えるCOVID-19患者の副鼻腔CTにおいて嗅裂が閉鎖する所見が報告されているが,嗅覚障害との関連はいまだ十分に解明されていない。今回われわれはCOVID-19における嗅覚障害と嗅裂閉鎖の関連について解析した。方法:2020年4月から2021年1月に札幌医科大学医学部附属病院において治療を受けたCOVID-19患者のうち,副鼻腔CT検査を施行した91名を検討の対象とした。嗅覚障害の有無は電子カルテから後方視的に収集した。嗅裂の閉鎖所見はその程度に応じて0–4点で点数付けを行った。嗅覚障害を有した患者ではVi...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌 Vol. 2; no. 2; pp. 49 - 54 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会
2022
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 2435-7952 |
DOI | 10.24805/jiaio.2.2_49 |
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Summary: | 背景:COVID-19の特徴的な症状の一つとして,嗅覚障害が報告されている。嗅覚障害を訴えるCOVID-19患者の副鼻腔CTにおいて嗅裂が閉鎖する所見が報告されているが,嗅覚障害との関連はいまだ十分に解明されていない。今回われわれはCOVID-19における嗅覚障害と嗅裂閉鎖の関連について解析した。方法:2020年4月から2021年1月に札幌医科大学医学部附属病院において治療を受けたCOVID-19患者のうち,副鼻腔CT検査を施行した91名を検討の対象とした。嗅覚障害の有無は電子カルテから後方視的に収集した。嗅裂の閉鎖所見はその程度に応じて0–4点で点数付けを行った。嗅覚障害を有した患者ではVisual Analogue Scale,日常においアンケート,オープンエッセンス検査,嗅裂のCTスコアの経時的な変化を確認した。結果:嗅覚障害を有した症例は15例(16.5%)であった。嗅覚障害あり群のCTスコアは有意に高く,嗅裂は閉鎖傾向にあった。このうち8例で経時的な観察が可能であった。これらの症例では,におい全般・香水のVAS,オープンエッセンス検査,CTスコアは経時的に有意に改善していた。嗅覚障害の変化とCTスコアの変化の間には一定の相関関係が見られた。結論:COVID-19により嗅覚障害を有する患者では有意に嗅裂が閉鎖していた。COVID-19患者で見られる嗅裂閉鎖は嗅覚障害の原因の一つである可能性がある。 |
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ISSN: | 2435-7952 |
DOI: | 10.24805/jiaio.2.2_49 |