歯性上顎洞炎への対応
歯性上顎洞炎は耳鼻咽喉科と歯科の境界領域にある疾患である。日常診療においてしばしば遭遇する疾患であるが,正確な診断がなされていないことも多い。本邦では統一された診療ガイドラインもなく,受診した診療科や医療機関により治療方針が異なっている。耳鼻咽喉科医は副鼻腔炎の鑑別診断として歯性上顎洞炎の可能性を念頭に置き,主にCTによる画像診断で根尖周囲を含めて注意深く観察することが重要である。また,比較的軽微な上顎洞内粘膜肥厚や根尖病巣については見逃されている場合があり,歯科治療を受ける機会を逸している可能性があるため注意が必要である。治療は原因歯の感染病巣除去のための歯科治療,副鼻腔自然口閉塞を解除する...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌 Vol. 2; no. 3; pp. 83 - 90 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会
2022
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 2435-7952 |
DOI | 10.24805/jiaio.2.3_83 |
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Summary: | 歯性上顎洞炎は耳鼻咽喉科と歯科の境界領域にある疾患である。日常診療においてしばしば遭遇する疾患であるが,正確な診断がなされていないことも多い。本邦では統一された診療ガイドラインもなく,受診した診療科や医療機関により治療方針が異なっている。耳鼻咽喉科医は副鼻腔炎の鑑別診断として歯性上顎洞炎の可能性を念頭に置き,主にCTによる画像診断で根尖周囲を含めて注意深く観察することが重要である。また,比較的軽微な上顎洞内粘膜肥厚や根尖病巣については見逃されている場合があり,歯科治療を受ける機会を逸している可能性があるため注意が必要である。治療は原因歯の感染病巣除去のための歯科治療,副鼻腔自然口閉塞を解除するための耳鼻咽喉科での内視鏡下鼻内副鼻腔手術,抗菌薬治療を病状に合わせて行う。副鼻腔のみの治療では根本的な治癒は得られず,また歯科治療のみでも特に重症例では改善が得られないことがある。耳鼻咽喉科と歯科で連携して診療にあたることが必要である。 |
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ISSN: | 2435-7952 |
DOI: | 10.24805/jiaio.2.3_83 |