心室細動発作を生じた冠攣縮性狭心症に対しアセチルコリン冠攣縮誘発試験による薬効評価を行った1例

症例は34歳, 女性. 主訴 : 心肺停止. 喫煙歴10本/10年, 1年前から就寝中の胸痛を自覚していた. 高血圧の治療を受けていたが, 2007年10月よりアムロジピン5mg/日からニカルジピン40mg/日に変更された. このころから胸痛の頻度が増加した. 2008年1月早朝に胸痛, 冷汗が出現した後に意識消失した. 救急隊により心室細動が確認され, AED ( 4回) にて洞調律に復した. 冠動脈に狭窄性病変はないが, アセチルコリン冠攣縮誘発試験にて左冠動脈が完全閉塞した後に心室細動が出現し, 直流通電 (270J, 2回) にて停止した. 冠攣縮性狭心症と診断し, ジルチアゼム200...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 41; no. SUPPL.3; pp. S3_131 - S3_136
Main Authors 太田, 昌樹, 金古, 善明, 中島, 忠, 齋藤, 章宏, 入江, 忠信, 加藤, 寿光, 飯島, 貴史, 間仁田, 守, 伊藤, 敏夫, 秋山, 昌洋, 富田, 智之, 中野, 明彦, 倉林, 正彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2009
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は34歳, 女性. 主訴 : 心肺停止. 喫煙歴10本/10年, 1年前から就寝中の胸痛を自覚していた. 高血圧の治療を受けていたが, 2007年10月よりアムロジピン5mg/日からニカルジピン40mg/日に変更された. このころから胸痛の頻度が増加した. 2008年1月早朝に胸痛, 冷汗が出現した後に意識消失した. 救急隊により心室細動が確認され, AED ( 4回) にて洞調律に復した. 冠動脈に狭窄性病変はないが, アセチルコリン冠攣縮誘発試験にて左冠動脈が完全閉塞した後に心室細動が出現し, 直流通電 (270J, 2回) にて停止した. 冠攣縮性狭心症と診断し, ジルチアゼム200mg, アムロジピン10mg, ニコランジル15mg, イソソルビド80mgと就眠前の貼付薬40mgにて胸痛は消失した. 服用下に再検したアセチルコリン冠攣縮誘発試験では, 高度な冠攣縮, 心室細動は誘発されなかった. その後の1年間は内服下に無症状で経過している. 心室細動発作を生じた冠攣縮性狭心症例には厳格な内服治療が求められる. 薬物療法が有効か否かの評価は, 通常症状の有無や心電図のST変化の有無を観察することで行われているが, 服薬開始時にその後の臨床経過を予測できるような薬効評価があれば有用であろう. 本症例では, アセリルコリン冠攣縮誘発試験により有効と判定された薬剤を服用して経過は良好であるが, 今後本法の有用性についてさらなる検討が必要と思われる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.41.S3_131