無麻酔下に摘出を行った経肛門的直腸異物の1例
症例は65歳男性,自慰行為で経肛門的に異物を挿入,抜去不能のため救急外来を受診された.問診で異物はステンレス製葉巻ホルダーで,抜去困難な状態から約30時間経過しているが,腹痛や下血はないことを確認した.CTで直腸内に約20cm長の円筒状高吸収体を確認,異物肛門縁は仙骨曲を越え,口側縁はS状結腸に到達していたが,腹腔内に遊離ガス像は認めなかった.直腸診では肛門括約筋はやや抵抗あるものの,特に疼痛の訴えなく母指・示指・中指が同時に挿入可能な状態で,無麻酔・経肛門的に異物を摘出した.本邦で検索し得た直腸異物128例のうち,無麻酔・経肛門的に異物を摘出可能であった報告は,自験例を含み22例(17.2%...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 78; no. 4; pp. 191 - 195 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本大腸肛門病学会
2025
The Japan Society of Coloproctology |
Subjects | |
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ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.78.191 |
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Summary: | 症例は65歳男性,自慰行為で経肛門的に異物を挿入,抜去不能のため救急外来を受診された.問診で異物はステンレス製葉巻ホルダーで,抜去困難な状態から約30時間経過しているが,腹痛や下血はないことを確認した.CTで直腸内に約20cm長の円筒状高吸収体を確認,異物肛門縁は仙骨曲を越え,口側縁はS状結腸に到達していたが,腹腔内に遊離ガス像は認めなかった.直腸診では肛門括約筋はやや抵抗あるものの,特に疼痛の訴えなく母指・示指・中指が同時に挿入可能な状態で,無麻酔・経肛門的に異物を摘出した.本邦で検索し得た直腸異物128例のうち,無麻酔・経肛門的に異物を摘出可能であった報告は,自験例を含み22例(17.2%)であった.自験例の摘出手技を提示するとともに,文献的考察を加え報告する. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.78.191 |