病院に就業する看護師が展開する卓越した看護に関する研究

本研究の目的は、病院に就業する看護師の卓越した看護実践を明らかにし、その特徴について考察することである。測定用具には卓越した看護の知覚の有無を問う選択回答式質問とその内容を問う自由回答式質問からなる質問紙を用い、郵送法により全国の病院に就業する看護師1142名に質問紙を配付した。回収された質問紙749のうち、自由回答式質問に回答した433名分の記述をベレルソンの内容分析の手法を用いて分析した。その結果、対象者の記述は病院に就業する看護師が展開する卓越した看護を表す35カテゴリを形成した。この35カテゴリとは、【多忙な業務の中から時間を捻出し、コミュニケーション技術を駆使して患者・家族の苦痛・不...

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Published in看護教育学研究 Vol. 14; no. 1; pp. 37 - 50
Main Authors 上田, 貴子, 野本, 百合子, 亀岡, 智美, 舟島, なをみ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護教育学学会 2005
Japan Academic Society of Nursing Education
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ISSN0917-6314
2432-0242
DOI10.19015/jasne.14.1_37

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Summary:本研究の目的は、病院に就業する看護師の卓越した看護実践を明らかにし、その特徴について考察することである。測定用具には卓越した看護の知覚の有無を問う選択回答式質問とその内容を問う自由回答式質問からなる質問紙を用い、郵送法により全国の病院に就業する看護師1142名に質問紙を配付した。回収された質問紙749のうち、自由回答式質問に回答した433名分の記述をベレルソンの内容分析の手法を用いて分析した。その結果、対象者の記述は病院に就業する看護師が展開する卓越した看護を表す35カテゴリを形成した。この35カテゴリとは、【多忙な業務の中から時間を捻出し、コミュニケーション技術を駆使して患者・家族の苦痛・不安を軽減する】【専門的知識に裏づけられた熟練度の高い看護技術を用いて患者の持つ悪条件を克服し、目標を達成する】などであった。スコットの式によるカテゴリヘの分類の一致率は、93.6%、89.4%、83.1%であり、35カテゴリが信頼性を確保していることを示した。考察の結果、卓越した看護35種類がそれを展開する看護師の持つ8つの側面に影響を受けることを示唆した。8つの側面とは、《患者・家族の心理的な問題を解決・回避し、看護師一患者関係を維持・発展できるコミュニケーション技術》《連続的・効率的に情報を収集し、組織化・活用する能力》《臨床の場の特徴を反映した看護・疾患・治療などの専門的知識とそれに裏づけられた技術》《患者の人格を尊重し、人間としての尊厳を守る倫理的配慮》《現状に潜む問題の明確化とその解決に向けた創造性の発揮》《医療チームにおける看護職としての複数の役割を見いだし、同時進行させる能力》《職場環境・患者個々の持つ悪条件を克服する能力》《専門職者としての責務の自覚》である。
ISSN:0917-6314
2432-0242
DOI:10.19015/jasne.14.1_37