背部痛後の難治性心室細動で急死し, 病理解剖で右冠動脈左バルサルバ洞起始と左室脂肪変性を認めた50歳代男性

症例は50歳代男性. 2カ月前より背部痛を自覚するも精査を受けなかった. 某日, 背部痛後に乗車したタクシー車内で心肺停止となり最寄りの警察署で蘇生が開始された. 救急隊接触時は心室細動で4回除細動されるも循環再開せず当院搬送. アドレナリン, アミオダロン等静注し電気的除細動を行ったが, 無脈性電気活動から心静止となり経皮的心肺補助装置 (PCPS) を挿入した. 冠動脈造影で器質的狭窄はなかったが右冠動脈が左冠尖から起始していた. PCPS下に集中治療したが低心拍出に高度DICを合併し翌日死亡した. 剖検で右冠動脈左バルサルバ洞起始を認めたが動脈硬化性病変はなかった. 心室中隔に亜急性心内...

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Published inShinzo Vol. 46; no. SUPPL.2; pp. S2_40 - S2_44
Main Authors 西山, 憲一, 柿添, 絵里, 中島, 豊, 栗林, 祥子, 堺, 浩二, 末松, 延裕, 稲生, 哲治, 目野, 宏, 松浦, 広英, 林谷, 俊児, 池田, 次郎, 池田, 宗一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2014
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.46.S2_40

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Summary:症例は50歳代男性. 2カ月前より背部痛を自覚するも精査を受けなかった. 某日, 背部痛後に乗車したタクシー車内で心肺停止となり最寄りの警察署で蘇生が開始された. 救急隊接触時は心室細動で4回除細動されるも循環再開せず当院搬送. アドレナリン, アミオダロン等静注し電気的除細動を行ったが, 無脈性電気活動から心静止となり経皮的心肺補助装置 (PCPS) を挿入した. 冠動脈造影で器質的狭窄はなかったが右冠動脈が左冠尖から起始していた. PCPS下に集中治療したが低心拍出に高度DICを合併し翌日死亡した. 剖検で右冠動脈左バルサルバ洞起始を認めたが動脈硬化性病変はなかった. 心室中隔に亜急性心内膜下梗塞, 左室側壁に脂肪変性がみられたが右室に脂肪の沈着や繊維化はなかった. 右冠動脈左バルサルバ洞起始で突然死をきたすことは知られているが, 本例では起始異常の他に左室脂肪変性や亜急性心筋梗塞が不整脈基質として関与していた可能性が考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.46.S2_40