多発小腸GISTに対し手術を施行した神経線維腫症1型の1例

症例は54歳男性.大量出血を伴う小腸多発GIST(Gastrointestinal stromal tumor)を認めて緊急入院となった.姉が神経線維腫症1型(neurofibromatosis type 1:NF1)と診断されており,患者にもおよそ20個の神経線維腫を疑う腫瘤とcafé au lait斑を6個以上認めたためNF1と診断した.出血コントロール目的に開腹手術を行ったが,GISTはおよそ20個多発しており,大量小腸切除を避けるために10mm以上の腫瘍のみ外科的切除を行い,多発微小腫瘍は経過観察とした不完全切除を選択した.切除標本の病理検査では紡錘形核と好酸性胞体を有する紡錘形細胞が...

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Published in家族性腫瘍 Vol. 19; no. 2; pp. 77 - 82
Main Authors 母里, 淑子, 重安, 邦俊, 吉岡, 貴裕, 永坂, 岳司, 原賀, 順子, 香川, 俊輔, 寺石, 文則, 豊岡, 伸一, 平沢, 晃, 藤原, 俊義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会 2019
日本遺伝性腫瘍学会
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Summary:症例は54歳男性.大量出血を伴う小腸多発GIST(Gastrointestinal stromal tumor)を認めて緊急入院となった.姉が神経線維腫症1型(neurofibromatosis type 1:NF1)と診断されており,患者にもおよそ20個の神経線維腫を疑う腫瘤とcafé au lait斑を6個以上認めたためNF1と診断した.出血コントロール目的に開腹手術を行ったが,GISTはおよそ20個多発しており,大量小腸切除を避けるために10mm以上の腫瘍のみ外科的切除を行い,多発微小腫瘍は経過観察とした不完全切除を選択した.切除標本の病理検査では紡錘形核と好酸性胞体を有する紡錘形細胞が密に錯綜する腫瘍を認め,免疫染色でKIT陽性.核分裂数は5以下/50HPFsであり低悪性度GISTと診断した.NF1に伴うGISTは比較的予後が良いとの報告もあるが,このような多発微小病変については明らかな治療指針がない.今後さらなる症例の集積と検討を要する.
ISSN:1346-1052
2189-6674
DOI:10.18976/jsft.19.2_77