関数モデルを使ったパワースペクトル密度のノイズ低減手法の検討

【背景】認知機能や覚醒度の評価のために、電気生理信号のパワースペクトル密度(Power Spectral Density: PSD)が利用されている。しかし、生体磁場計測の信号においては生体および外部由来のノイズがPSDに影響し、その評価が難しいことがある。本研究では、複数の関数を利用してPSDをモデリングする手法を応用し、実際の患者計測データにおけるノイズの低減効果を検討した。【方法】5分間の自発閉眼安静時の脳磁計測データを10秒のエポックに分割し、ブラックマン・チューキー法を用いて各エポックに対するPSDを1-70Hzの幅で推定した。PSDのうち、非周期的な1/f成分をローレンツ関数で近似...

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Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 417
Main Authors 小林, 桃子, 深沢, 敬亮, 鴫原, 良仁, 奥村, 直裕, 坂本, 悠希, 保子, 英之, 市川, 小百合, 平田, 容子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual59.417

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Summary:【背景】認知機能や覚醒度の評価のために、電気生理信号のパワースペクトル密度(Power Spectral Density: PSD)が利用されている。しかし、生体磁場計測の信号においては生体および外部由来のノイズがPSDに影響し、その評価が難しいことがある。本研究では、複数の関数を利用してPSDをモデリングする手法を応用し、実際の患者計測データにおけるノイズの低減効果を検討した。【方法】5分間の自発閉眼安静時の脳磁計測データを10秒のエポックに分割し、ブラックマン・チューキー法を用いて各エポックに対するPSDを1-70Hzの幅で推定した。PSDのうち、非周期的な1/f成分をローレンツ関数で近似した後の残差を、残差におけるピーク周波数を中心としたガウス関数で近似し、これを残差から減算する処理を、残差のピークが設定した閾値以下になるまで繰り返した。減算に使用した基底関数の線形和をノイズ低減後のPSDとし、処理前のPSDとの違いを目視で評価した。【結果】PSDの情報を損なうことなく、とくに周期的な成分を持つノイズを大幅に低減できることが確認できた。【考察】ノイズ源が明らかではなく、波形上でのノイズ信号の分離やフィルタ処理が難しい場合でも、本研究の手法を用いることにより、PSD上でのノイズが低減できることが示された。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.417