哺乳方法と乳歯列形態との関連性

哺乳方法と乳歯列形態の関連をみることを目的として,3歳児678名の哺乳方法,咬合状態,歯間空隙の有無,叢生の有無,指しゃぶりの継続状況を調べた。対象児のうち生後5か月まで母乳のみで哺育された者248名(母乳群),人工乳のみで哺育された者113名(人工乳群)について歯列形態の比較を行い,次のような結果を得た。1)前歯被蓋状態に基づく6型の咬合状態(正常・切端・過蓋・上顎前突・開咬・反対)の人数分布には有意な差は認められなかった。2)上顎歯列では,乳切歯部の歯間空隙発現状況にのみ若干の違いが認められたが,歯間空隙数,叢生部位数および発現頻度には差はなかった。3)下顎歯列では,母乳群の方が部位別の歯...

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Published inJOURNAL OF DENTAL HEALTH Vol. 46; no. 1; pp. 72 - 79
Main Authors 水上, 美樹, 木村, 恵子, 山下, 篤子, 白井, 淳子, 向井, 美惠, 井上, 美津子, 松尾, 美紀, 綾野, 理加, 小倉, 草, 千木良, あき子, 足立, マリ子, 金子, 芳洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 1996
Japanese Society for Oral Health
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.46.1_72

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Summary:哺乳方法と乳歯列形態の関連をみることを目的として,3歳児678名の哺乳方法,咬合状態,歯間空隙の有無,叢生の有無,指しゃぶりの継続状況を調べた。対象児のうち生後5か月まで母乳のみで哺育された者248名(母乳群),人工乳のみで哺育された者113名(人工乳群)について歯列形態の比較を行い,次のような結果を得た。1)前歯被蓋状態に基づく6型の咬合状態(正常・切端・過蓋・上顎前突・開咬・反対)の人数分布には有意な差は認められなかった。2)上顎歯列では,乳切歯部の歯間空隙発現状況にのみ若干の違いが認められたが,歯間空隙数,叢生部位数および発現頻度には差はなかった。3)下顎歯列では,母乳群の方が部位別の歯間空隙発現頻度が低く,空隙部位数の少ない者,叢生部位数の多い者,叢生部位が連続している者の割合が高かった。したがって下顎歯列では母乳群の方がスペースにゆとりのない者の割合が高いことが示唆されたが,その差は顕著ではなかった。以上から,哺乳方法と乳歯列形態の関連は少ないものと思われる。
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.46.1_72