開咬を伴う変形性顎関節症に対しIndirect Bonded Splintを応用して顎間牽引療法を行った一症例

両側の下顎頭吸収が起き,これに継発して前歯部が開咬を呈する症例に対し,Indirect Bonded Splint(IBS)を用いた顎間牽引を行い,良好な結果を得られた。 患者は42歳の女性で,1年前より右側顎関節部の軽度の疼痛と前歯部の開咬を自覚していた。開咬は除々に増悪し,来院時にはoverjet+1.0mm,overbite-3.5mmとなっていた。開口域は46mmであった。CTでは両側下顎頭の平坦化がみられ,左側下顎頭海綿骨の緻密化および関節結節部にはエロージョンを認めた。そこで,IBSを歯列に装着し,ゴムにて顎間牽引を行った。顎間牽引終了8か月後,前歯部開咬は改善し,CTでは左右下顎...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 21; no. 1; pp. 1 - 4
Main Authors 野田, 佳江, 中筋, 幾子, 清水, 幹雄, 栗田, 賢一, 宮澤, 健, 後藤, 滋巳, 泉, 雅浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 2009
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Summary:両側の下顎頭吸収が起き,これに継発して前歯部が開咬を呈する症例に対し,Indirect Bonded Splint(IBS)を用いた顎間牽引を行い,良好な結果を得られた。 患者は42歳の女性で,1年前より右側顎関節部の軽度の疼痛と前歯部の開咬を自覚していた。開咬は除々に増悪し,来院時にはoverjet+1.0mm,overbite-3.5mmとなっていた。開口域は46mmであった。CTでは両側下顎頭の平坦化がみられ,左側下顎頭海綿骨の緻密化および関節結節部にはエロージョンを認めた。そこで,IBSを歯列に装着し,ゴムにて顎間牽引を行った。顎間牽引終了8か月後,前歯部開咬は改善し,CTでは左右下顎頭および左側関節結節の皮質骨の再生が確認できた。 IBSを用いた顎間牽引は開咬を伴う変形性顎関節症に対する保存的療法の有用な一手段である。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu.21.1