温熱併用放射線治療における温度因子と治療効果の関係
温度因子と治療効果の関係に注目して京都大学における温熱併用放射線治療成績を再分析した.表在性腫瘍に対する温度測定結果は満足すべきもので, 多点連続測温が可能であった.その結果, 腫瘍最低温度, 最低43℃等価加温時間, 目的の温熱治療が完遂できた温熱治療の回数の3因子が, 腫瘍の完全消失と有意に関連する温度因子であった.一方, 深部腫瘍に対する温度データは不十分で, 深部腫瘍に対しては治療効果と相関する有意な温度因子は明らかにできなかった.一方, 膀胱内温度を測定した膀胱癌では, 術後標本での腫瘍の変性と膀胱内温度に相関が認められた.非侵襲的温度測定が臨床的に可能になるまでは, 膀胱内や直腸内...
Saved in:
Published in | 日本ハイパーサーミア学会誌 Vol. 14; no. 3; pp. 162 - 169 |
---|---|
Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | English |
Published |
日本ハイパーサーミア学会
1998
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0911-2529 1881-9516 |
DOI | 10.3191/thermalmedicine.14.162 |
Cover
Summary: | 温度因子と治療効果の関係に注目して京都大学における温熱併用放射線治療成績を再分析した.表在性腫瘍に対する温度測定結果は満足すべきもので, 多点連続測温が可能であった.その結果, 腫瘍最低温度, 最低43℃等価加温時間, 目的の温熱治療が完遂できた温熱治療の回数の3因子が, 腫瘍の完全消失と有意に関連する温度因子であった.一方, 深部腫瘍に対する温度データは不十分で, 深部腫瘍に対しては治療効果と相関する有意な温度因子は明らかにできなかった.一方, 膀胱内温度を測定した膀胱癌では, 術後標本での腫瘍の変性と膀胱内温度に相関が認められた.非侵襲的温度測定が臨床的に可能になるまでは, 膀胱内や直腸内の温度測定が, 骨盤部腫瘍の代換温度測定法となる可能性が示唆された.表在性腫瘍では, 温度因子と腫瘍効果に相関が示されており, 表在性腫瘍および深部腫瘍に対する温熱療法を成功させるには, 質の高い温度測定が必要と考えられた. |
---|---|
ISSN: | 0911-2529 1881-9516 |
DOI: | 10.3191/thermalmedicine.14.162 |