高速液体クロマトグラフ法によるコーヒー中の微量ヒドロキシヒドロキノンの定量
クロロゲン酸の降血圧効果を阻害する,コーヒー中の微量のヒドロキシヒドロキノン(HHQ)を定量するために,高速液体クロマトグラフ(HPLC)法を開発した.逆相でのHPLC/紫外検出(UVD)を用いたHHQの測定において,試料調製溶液及び移動相に0.1% wt リン酸0.1 mmol/L 1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)5% メタノール溶液(v/v)(pH 2.1)を用いることにより,標準のHHQを試料調製後の時間依存的な変化に安定に測定することが可能となった.コーヒー試料にて安定に測定するためには,陽イオン交換型の固相抽出を用いた前処理が有効であった.HHQの高感度検出には...
Saved in:
Published in | 分析化学 Vol. 57; no. 1; pp. 23 - 30 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本分析化学会
01.01.2008
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0525-1931 |
DOI | 10.2116/bunsekikagaku.57.23 |
Cover
Summary: | クロロゲン酸の降血圧効果を阻害する,コーヒー中の微量のヒドロキシヒドロキノン(HHQ)を定量するために,高速液体クロマトグラフ(HPLC)法を開発した.逆相でのHPLC/紫外検出(UVD)を用いたHHQの測定において,試料調製溶液及び移動相に0.1% wt リン酸0.1 mmol/L 1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)5% メタノール溶液(v/v)(pH 2.1)を用いることにより,標準のHHQを試料調製後の時間依存的な変化に安定に測定することが可能となった.コーヒー試料にて安定に測定するためには,陽イオン交換型の固相抽出を用いた前処理が有効であった.HHQの高感度検出にはHPLC/電気化学検出(ECD)を確立した(HPLC/UVDの検出下限0.05 μg/mLに対しHPLC/ECDでは0.001 μg/mL).これらHPLC/UVD及びHPLC/ECDにおいて,コーヒー中のHHQは共存成分の妨害を受けず,繰り返し分析の再現性や検量線の直線性は受け入れられるものであった.比較的高濃度のHHQを含む市販缶コーヒーにHPLC/UVDを適用したところ,HHQは6.03±0.31 μg/g と定量され,標準HHQを添加した際の回収率は99.0±2.5% であった.一方,HPLC/ECDを用いて,実験室にて調製した2種の缶コーヒー中の微量HHQを分析したところ,定量値は0.28±0.01 及び0.65±0.02 μg/gであり,回収率は101.2±0.3及び98.4±0.7% であった.本法は,コーヒー中のHHQ定量分析に有用であり,コーヒー中のクロロゲン酸が有する降血圧効果を調べていくための有用な手段となる. |
---|---|
ISSN: | 0525-1931 |
DOI: | 10.2116/bunsekikagaku.57.23 |